シマンテック マーケットインテリジェンスマネージャ 金崎裕己氏 |
シマンテックは27日、今年9月に全世界の大企業のデータセンター管理者を対象に実施した"State of the Data Center Research"(データセンターに関する最新動向の調査)レポートを発表した。主にサーバ統合や仮想化などの手法に注目し、データセンターにおける複雑さの増大に関してどのような課題があり、どんな対策が検討されているのかをまとめたもの。
レポートの内容を紹介した同社のマーケットインテリジェンスマネージャの金崎裕己氏は、日本の状況について「経営陣のITに対する関心が低く、未だにITをコストと捉え、"コストは減らすべきもの"という認識がある」と指摘する。また、SLA(Service Level Agreement)などを明確化する「契約書文化」が根付いていないこともあって、データセンターの運用や管理が属人的なノウハウに頼る傾向が強いという。IT投資をコストと見る傾向から人件費も抑制されがちで、結果として優秀なIT担当者を留めておくことが困難になっている現実もあり、日本では課題として「人材不足」を挙げる担当者が世界平均に比べて明確に高くなっているという。
属人的な運用管理が主流を占めている状況から、別の問題も生まれる。コスト削減の手段としてサーバ統合の実現、その手法としての仮想化に注目が集まっている状況は共通だが、日本では「すでに仮想化を導入している」との回答が明らかに低い。この理由として同氏は、新しい技術である仮想化については運用管理のためのツールやノウハウがまだ固まっていない部分があり、このことが属人的な運用管理体制を維持する日本のユーザーに不安を与えているという。こうした状況は、新技術の導入に消極的な態度となり、日本での仮想化の利用が世界に比べて遅れている原因ともなっているという。
こうした状況を踏まえ、同社としても統合的な運用管理ツールの充実を図る方針だ。データセンター管理ソフトウェア製品での仮想化(VMware)対応などを通じ、仮想環境や物理環境の管理を標準化していくという。
なお、本調査は米国の調査会社Ziff Davis Enterpriseによって行われ、Global 2000にランクされる企業や大規模な公共事業体のデータセンター管理者を対象とした。対象企業の平均従業員数は3万1,250名で、データセンター数は平均14だといい、大企業を対象とした調査となっている。調査対象国は全世界で14カ国で、800名超のデータセンター管理者が回答したという。