ドリーム・アーツ 取締役の吉村厚司氏 |
企業の中心インフラとして、多くの企業で導入が進んでいるグループウェア「Notes」。しかし、高額な運用費用や維持コスト、上位互換保障、サポート切れなどの問題を抱えており、多くのユーザーが他システムへの移行を検討する節目に立たされている。そんな中、統合型グループウェアとEIP機能(企業情報ポータル)を備えた「INSUITE」など、企業向け情報基盤システムを多数展開する、ドリーム・アーツ 取締役の吉村厚司氏が20日、「Notes部分移行と完全移行の徹底検証~今後のあるべき協業支援型ITシステムとは~」と題したセミナーを行った。
Notesユーザーに対して行われたアンケート調査によると、大半のユーザーがNotesの管理コストとサポート切れ、将来性に不安を感じている。吉村氏は、「Notesユーザーの31%が他製品への移行を決断しており、42%が移行したいがどうすればよいか悩んでいる」という数字を示し、Notes運用担当者がジレンマを抱えている様子を明らかにした。
サポート期間が切れたNotesユーザーの取りうる選択肢は、大きく"バージョンアップ"と、"移行"の2つに分けられる。また移行にも、段階的にNotesデータベースを撤廃していく"完全移行"か、一部のNotesデータベースを塩漬けしながら併用する"部分移行"の2通りの選択肢があり、Notes運用担当者はどのパターンを選ぶかで頭を悩ませているようだ。この点に関し、吉村氏は「移行もバージョンアップも方法論が違うだけで、結果的に別のものに移ることには変わりがないため、本質的には同じこと」だと述べた。
移行を検討する際に担当者がもっとも懸念するのは、やはりコストだろう。システムの完全移行には、計画段階だけでも1~2年を要するとされ、移行プロセスそのものにも多大な労力を費やすことになる。この点も加味したうえで、コスト的に得策かどうかを判断しなければならないという。
こうした問題への判断基準について吉村氏は「移行の本当の目的は何なのか? 本当に今、移行かバージョンアップかを決断しなければならないのか? まずはそういった経営課題に立ち返るべき。ITは道具でしかない。移行かバージョンアップかはその次の次元で考えるべきことだ」と説明。システムの移行を検討する前に、まずは組織体制や経営課題、システム方針を見直し、その目的を詳らかにするべきだと主張した。
昨今、企業を取り巻く現場は、顧客の嗜好の多様化や、競争のボーダレス化、製品ライフサイクルの短縮化などが進んでおり、企業経営のフレキシビリティーがますます重要視されている。また、情報化が組織に多くの効率化をもたらす一方で、情報過多という現象も起きており、重要な情報が埋もれ、経営判断がかえって遅くなるといった弊害が生じている。さらに業務の自動化を優先したためにシステムが乱立、その結果、蓄積された情報をうまく活用できなかったり、システム環境の不統一が業務効率の低下を招いたりといった状況に陥っている。吉村氏は「Notesは、あらゆる情報資産を一元的に格納できることがメリットだ。しかし、蓄積したその情報を"見える化"し、活用するのは不得意である」と指摘し、情報基盤は単に導入すればよいというものではなく、情報の可視化と整流化にも配慮することが重要だと主張した。
こうした状況を踏まえたうえで、吉村氏は「まず必要なのは"見える化の共通基盤"だ」と語り、このようなNotesの優れたデータベース機能を活かしながら、情報やITシステムの乱立を解決するソリューションとして、ドリーム・アーツが提供するINSUITEの企業情報ポータル機能を紹介。「INSUITE」は、情報を貼り付けただけのポータルではなく、ユーザーの職務や役割に応じて情報をパーソナライズ化できるうえ、目的とプライオリティーを明記したかたちでプッシュ型の情報配信を行ったり、Notesの情報の"見える化"を実現したりすることが可能だという。さらに、シングルサインオンによりユーザー利便性向上を図るなど、統合システム基盤としての機能も提供。加えて、INSUITEとNotesのデータを横断して検索できるといった特徴も備え、Notes資産を有効に活用することもできる。
企業システムの移行は計画によっては3~4年かかることもあり、その間にユーザーの状況が変わってしまう場合もあるという。これに対して吉村氏は「移行かバージョンアップかで迷うところだが、このタイミングを社内情報基盤を見直す好機だと捉え、まずは次の一歩を踏み出してほしい」と述べたうえで、INSUITEには多様なオプションが備わっており、環境の変化にも対応できる点をアピールした。