米Oracleによる米Hyperion買収、独SAPによる仏Business Objects(BO)買収、米IBMによる加Cognos買収合意…これらは、過去わずか9カ月間に行われた一連の買収劇だ。過去数年間で一気に加熱し、顧客ならびにITベンダ各社の熱い視線を浴びているBusiness Intelligence(BI)の分野だが、大手上位3社はすべて、より巨大なソフトウェア企業の一部門としてそれぞれ吸収されることとなった。大手3社の抜けたBI市場。そこに残される形となった"第4"のBIベンダの1社が、昨今の急激な業界再編に対する感慨を吐露しつつ、今後の生き残る道を模索し始めている。
米MicroStrategyは1989年創立のBI専業ベンダだ。歴史的にはCognosやSASなどの老舗に続く第2世代の古参ベンダで、コンピュータ技術が大きく発展する時期のBI市場を支えた中心プレイヤーの1社となる。同社会長で社長兼CEOのMichael Saylor氏は創業時からエグゼクティブチームの1人として活躍した人物で、過去から現在にわたるBIベンダの興隆をずっと見続けてきた。そんな同氏がここ最近の業界の動きに対し「1つの時代が終わった」と感想を述べた。
「1994 - 2004年にかけて、BI市場は50以上のベンダが群雄割拠する時代を経験した。それはやがてひと握りの企業だけが生き残る結果となり、いわゆる"ダーウィンの進化論"に即したフェイズを駆け抜けてきたことになる。われわれはBO、Cognos、Hyperionといったベンダに続く、第1のフェーズの最後に生き残った"第4"のベンダとなった」(Saylor氏)
だが、このダーウィンの時代を生き残った恐竜たちにも、次の試練が待っていた。ソフトウェア業界全体を巻き込んだ業界再編だ。過酷な競争を生き抜くために、BI市場の雄たちはより巨大なベンダの糧としてそのエコシステムに次々と取り込まれ、あとは多くが知るように、現在の状況へと続いている。
「我々BI業界の3大強豪たちは、"買収"というプロセスを介して、より巨大なIT企業のプロプライエタリな世界に取り込まれることになり、市場から消えていった。大手による買収は株主にとってのメリットかもしれない。だが、我々の意見でいえば、顧客にとっては不幸な出来事だろう。買収/合併のプロセスを経ることで、そのベンダから提供されるソリューションの選択肢が狭まってしまうからだ。最後の独立系BIベンダの1社となったいま、これがわれわれにチャンスを与え、顧客のいかなるプラットフォームに対しても洗練され、カスタマイズされたソリューションを届けられることにつながるだろう。SAP依存でもない、Microsoft依存でもない、IBM DB2依存でもない、Oracle依存でもない、オープンなBIソリューションだ」(Saylor氏)
同社では以前より「より優れたBIソリューションの提供には長年の蓄積が必要であり、そこが新興ベンダーに対する強みとなる」という持論を持っている。これをオープン戦略と組み合わせることで、すでに買収された大手3社ら、ならびにMicrosoftなどの新興ベンダとの対決に結びつけるのが狙いだ。残された"第4"の生き残り戦略とは、このような形で業界でのユニークなポジションを築くことにあるというのだ。BIブームに乗り、今後も世界規模での拡大戦略を推進し、パートナーらの協力を得てユニークなソリューションを提供していくMicroStrategy - ダーウィンの進化論を経て1つの時代が終わったBI業界は、次の新たなステップへと進みつつある。