ブラウザ上でのRIA(Rich Interactive Application)を実現するマイクロソフトの「Silverlight」を採用した国内初の動画配信サービスを、USENの「GyaO」が19日から開始した。今回はUSEN傘下の映画配給会社ギャガ・コミュニケーションズが公開する映画の予告編をストリーミングで提供している。
Silverlightは、アドビ システムズのFlashなどのように、Webブラウザ上でRIAなどといったリッチな表現を実現するブラウザプラグインで、今年9月に1.0正式版の無料ダウンロードが開始されたばかりだ。インターネットユーザーの99%がインストールしているといわれるFlash Playerのような普及を目指しており、マイクロソフトも積極的に普及に向けた施策を展開している。
特に、Silverlightによる映像配信をサポートするため、4GBのサーバ容量を無償で提供するSilverlight Streamingを展開。ビデオエンコーダである「Expression Encoder」向けのプラグインを利用することで、Encoderから簡単にSilverlight Streamingにマルチメディアファイルをアップロードすることができる。
Expression Encoder+プラグインを使うことで、動画ファイルをWeb用にエンコードしてSilverlight Streamingにアップロード、自動生成されたiFrameタグを自分の利用しているブログに張り付ければ、簡単に自分で映像を公開することができる。
Expression Encoder+プラグインで動画の出力を設定しているところ。これでエンコードを開始すると、自動的にアップロードからiFrameタグの生成までをしてくれる |
ブログにはり付ければ簡単に動画配信ができる |
Silverlightの重要なポイントは、クロスプラットフォーム、クロスブラウザを実現している点だ。マイクロソフト開発ながら、Windows、Internet Explorerだけでなく、Mac OS、Safari、Firefoxをサポート。Linux対応版の開発もOSS陣営で進められている。
今回GyaOは、このクロスプラットフォームに着目。これまで同サービスはWindows+IEのみをサポートしており、特にMacユーザーからは単純な視聴要望だけでなく、「熱い思い」(USEN GyaO事業本部第一メディア局WEB制作部 高野輝次部長)がUSENに届けられているそうだ。Macユーザーが観られる動画配信サービスが少ないことがその一因だと高野部長は分析する。
GyaOでは現在、WMV形式でDRMが付与された動画を配信しており、そのためMacユーザーは視聴できなかったわけだが、Silverlightを使うことで、WMV・DRM付きのフォーマットを変更することなく、Macユーザーでも動画を閲覧できるようになる。
とはいえ、現時点でSilverlightはDRMをサポートしておらず、来年前半にも登場するバージョン1.1以降でないとDRM付き映像の配信はできない。そのため、今回はUSENの自社コンテンツ、しかもDRMなしでも配信しやすい映画の予告編のみという形での配信となった。
これに関して高野部長は、今後もギャガの予告編の公開を続けつつ、SilverlightがDRMをサポートして以降は、Silverlightの普及率を見ながらGyaO内の動画をSilverlight経由でも公開していく考えを示す。それに加え、Silverlight普及の鍵はコンテンツがいかに登場するかにもかかっているが、GyaOでもマイクロソフトと歩調を合わせて普及に向けてSilverlightのコンテンツを提供していく意向。最終的には「Silverlightの普及率がFlash Player並みになったら」(高野部長)GyaO全コンテンツをSilverlight対応とする計画だ。