米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld 2007」。その盛り上がりが最高潮に達する4日目の14日(現地時間)、米Oracle CEOのLarry Ellison氏によるキーノートが開催された。自らの挨拶が終わるとともに突然オープンQ&Aをスタートさせたり、またあるときはニュージーランドのオークランドから衛星回線で自身のスピーチを中継するときもあるなど、ある意味で直前まで何が起こるか分からない同氏の講演だが、昨年は「Unbreakable Linux(UBL) 2.0」を電撃発表するなど、いい意味で大きなサプライズだった。果たして今年は何が飛び出したのだろうか。

UBL 2.0の成果と新製品のOracle VM

今年のサプライズの1つは、バックグラウンドミュージックとともに登場したアーティストのBilly Joelその人だ。ポップミュージシャンとして名高い同氏は1970年代から活動を開始、ちょうどOracle創業にあたる1977年ごろには業界のメジャーとして認知されるようになった。ある意味でOracleの30年の歴史とともに歩んできた人物ともいえる。すでに第一線を退いている同氏は「私は30年でこんなに変わったよ」と帽子を取って頭を見せるなどして会場の笑いを誘っていたが、その元気な様子は変わらずだ。一方でOracleは今年で30歳となるが、これからも成長し続けるだろう。皆に愛されるミュージシャンは締めの挨拶とともに、Ellison氏へとステージをバトンタッチした。

米Oracle CEOのLarry Ellison氏。今年はどんなサプライズが飛び出すのか!?

キーノート冒頭には"あの"Billy Joel氏が登場

Ellison氏最初のメッセージは、昨年発表したUBL 2.0の活動成果だ。現在、世界の1,500以上の企業がOracleのLinuxサポートサービスを利用していることを述べ、ビジネスとして少しずつ地固めが進みつつあることを強調する。

まずは昨年発表のUBL 2.0の成果を報告

そして同社の最新トピックとなるOracle VM登場となる。仮想化市場への正式参入を発表したOracleだが、Linuxとサーバアプリケーションを含む完全な仮想化ソリューションの提供が目標だという。これにはサポートサービスも包含されており、UBL 2.0の延長にあたるサービスであることがわかる。

今年の目玉となるのは、やはりOracle VMの発表。その機能について軽く紹介

対象となるのがWindowsとLinuxの2種類のOSで、最大64-way環境での仮想化が可能となる。だが問題となるのは価格体系で、Oracle VMの4プロセッサあたりの年間ライセンス料が999ドルなのに対し、VMware Standardでは同形態で5,990 + 1,499ドルの年間費用がかかる。さらに比較対象は明示されていないものの、Oracle VMはライバル製品と比較してオーバーヘッドが3倍少ないという。つまり、Oracle VMのほうがライバル製品よりも大幅に高速で割安だというのがEllison氏の主張だ。UBL 2.0がRed Hatを狙い打ちしたサービスであるように、今回は攻撃相手としてVMwareをターゲットにしているのは明らかだ。

3枚目のスライドが表示されたところで様子が一変する。ライバルを明示した価格比較と、ライバルを明示しないパフォーマンス比較を並べる。これはVMwareへの挑戦状であることがわかる