会場に鳴り響くドラムとギターの音、壇上でロックバンドが熱演中。ノリはまるで学芸会だ。入るホールを間違えたわけではない。これが2007年のOracle OpenWorldだ。バンドメンバーはOracleのエグゼクティブたちとカスタマー、それにパートナーだ。「俺たちはこれまでも、そしてこれからもロックだぜ! 」- そんなイノベーションへの思いをぶつけてきたというわけだ。止まることなく駆け続けるOracle魂は、創立から30年経った今も燃え続けている。
30周年の祭典、それが今年のOracle OpenWorld!
Oracle OpenWorld San Francisco 2007の初日、11日(米国時間)には夕方からCEOのラリー・エリソン氏とCFOのサフラ・キャッツ氏によるライブセッション「Oracle Sunday Night Live」が催された。同社の名物CEO ラリー・エリソン氏がOOW初日のこんな時間に登場するのは珍しい。最高潮に盛り上がるタイミングで登場し、パワフルなパフォーマンスで驚きの発表をするのが通例だからだ。早いタイミングで登場してライブイベントを行ったのには理由がある。それは今年が創設30周年という記念すべき年だということだ。
Sunday Night Liveの大まかな内容については既報でお伝えしたので、ここでは同ライブセッションのこぼれ話と、そもそもOracleのこの30年がどういったものだったかを説明しておきたい。この30年間を知っておくことで、今度は次の30年間、同社がどんなイノベーションを進めていくのかが見えてくる。
データベース企業としてスタートしたOracle
Oracleの創立は今から30年前の1977年までさかのぼる。当初は商用データベースの開発を販売を行うソフトウェアベンダだった。それから20年以上、データベースは同社にとって主要なポートフォリオであり続けた。このあたりは周知の通りだ。
データベースはシステムの要ということもあって順調に市場を広げていく。景気後退もなんとかしのいできた同社だが、5年ほど前、成長が鈍化を見せる。データベースのみならずIT市場全体が鈍化した。ここでOracleは大きな方向転換を決定する。今後も成長を続けるには、従来のように1つのソリューションを成長させ続けるだけでは続かない。何度も成長を繰り返す必要があると判断した。
ユーザ企業にすべてのソリューションを提供する
同社は企業が必要とするすべてのポートフォリオを提供し、すべてのプロダクトでNo.1の地位を獲得していくと宣言する。これがその後5年間続く猛烈な買収戦略の幕開けだ。同社は5年の間に36社を買収した。もしBEAの買収が成功していたら、計37社を買収したことになっていただろう。この一連の買収によって、同社は一気にポートフォリオの拡充と分野No.1の称号を獲得していった。
結果、買収戦略を開始する前に4万人だった従業員は現在では倍の8万人に増えている。顧客は30万に達しており、名実ともに目標を達成しつつある。