米Intel社長兼CEOのPaul Otellini氏による講演が13日朝(現地時間)、現在サンフランシスコ市内で開催中のOracle OpenWorld(OOW) 2007で行われた。この日は折しも、Intelにとって重要なマイルストーンである45nmプロセスルールを用いた初のプロセッサ製品「Penryn(開発コード名)」の発売日翌日にあたる。12日夜には一部報道関係者を招いたローンチイベントを、OOWとは別に市内のホテルで開催している。13日の基調講演ではOOWの来場者層に合わせ、よりビジネス的な視点でPenrynのメリットについて解説が行われた。
プロセスルールの変更によるメリットはいくつかあるが、最も大きなものの1つがパフォーマンスだ。現行のプロセッサと比較して、単純に20%程度の性能向上が見込める。Otellini氏は15年近くにわたるOracleとのコラボレーションの歴史を振り返りつつ、同社のコンパイラを用いてOracleのデータベースやアプリケーション、管理ツールなど、さまざまなコンポーネントのパフォーマンスチューニングが行われている点を強調した。
そして新プロセスルール導入で最大のメリットとなるのが消費電力の低減だ。壇上では昨今のトレンドを紹介しつつ、サーバの売上と比較してシステムの稼働にかかる電力や冷却装置の運用コストの上昇率が高まっている点を指摘した。Googleなど関連各社と共同で発表したClimate Savers Computing Initiativeでの活動に加え、Intelだけでも過去3年間に6倍のPPW(Performance Per Watt: 電力あたりのパフォーマンス)向上を実現しているという。
壇上のデモでは45nm世代のクァッドコア新製品「Xeon 5400(開発コード名: Harpertown)」シリーズと、旧世代にあたるXeon 5300の動作比較を行い、単位時間あたりの処理能力で44%、PPWにいたっては67%の性能向上が見込めることを示した。これはデータセンターなどの密集環境でシステムを稼働させる場合、トータルの消費電力コストならびに、ラックの占有スペースの面で大きなメリットを享受できることを意味する。
またOOW初日のAMDのキーノート同様、仮想化に対する取り組みも紹介している。VMwareやMicrosoftほか、XenSourceをベースにした(Oracleを含む)オープンソース陣営の企業など、さまざまな企業とのコラボレーションで仮想化技術を最大限に活かせるプラットフォームの提供を目指していくという。仕組み的にはプロセッサに組み込まれたIntel VT(Virtualization Technology)のほか、I/O方面の機能拡張で大規模環境での仮想化技術の運用をサポートする。