宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本放送協会(NHK)は13日、月周回衛星「かぐや(SELENE)」が「地球の出」のハイビジョン撮影に成功したと発表した。NHKが開発した宇宙仕様のハイビジョンカメラ(HDTV)によって行われたもので、10月31日には月面の撮影にも成功していた。「かぐや」は現在、高度約100kmの月周回軌道を飛行中。
「地球の出」(Earth-rise)とは、地上で見られる「日の出」のように、地球が月の地平線から昇ってくる現象のこと。アポロ計画で有名になったものだが、月は常に同じ側を地球に向けているので、じつは月面では地球はいつも同じ位置に見える。アポロ有人宇宙船や「かぐや」のように、月を周回する衛星でのみ見ることができる現象なのだ。
この「地球の出」の撮影は事前に計画されており、予め分かっていたことではあるが、やはり実際の映像は圧巻。JAXAのWEBサイトで動画が公開されているので(解像度は今回も480×270に落とされている)、まずはそちらをご覧いただくのがいいだろう。
撮影は11月7日に行われた。まず南極付近を裏側に飛行するときに「地球の入り」を、次いで北極の裏側から出てくるときに「地球の出」をそれぞれ撮影。「地球の入り」は望遠、「地球の出」は広角が使用されている。
ハイビジョンカメラ(HDTV)の主な仕様センサー | CCD(1920×1080:有効画素数) |
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使用チップ数 | 3チップ |
プリズム | ダイクロイックプリズムによる三原色分光 |
レンズ | 固定焦点(T:望遠、W:広角) |
FOV(視野角) | 広角:51.23°(水平) / 30.17°(垂直) |
望遠:15.60°(水平) / 8.80°(垂直) |
「かぐや」からのテレメトリデータによれば、現在の衛星の状態は正常。今後12月中旬からは、月の定常観測を開始する予定となっている。