米Microsoftは11月13日 (現地時間)、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)市場向けOS「Windows HPC Server 2008」の公開ベータ版をリリースした。Windows Compute Cluster Server 2003の後継となる製品で、HPCワークロードへの対応を強調した名称に改められた。Windows Server 2008をベースとしており、高速ネットワーキング、高効率でスケーラブルなクラスタ管理ツール、高度なフェイルオーバー機能、SOAスケジューラ、パートナーのクラスタファイルシステムのサポートなどが強化点として挙げられている。正式版の提供は2008年後半を予定している。

Microsoftによると、2,048コアのクラスタをWindows HPC Server 2008にアップグレードしたテストで、LINPACKのパフォーマンスが最大30%向上した。最新のWebサービスのルーティング機能を通じて、高スループットを必要とするSOAアプリケーションをサポートし、従来のMPIベースのアプリケーションの枠を超えて「より幅広いエンタープライズアプリケーションにHPC機能をもたらす」としている。発表では、運用率を高めるデュアルブートクラスタの効率性にも言及。またMicrosoft System Center、Office SharePoint Server、Windows Workflow Foundationなど、ツールの共通セットによってクラスタ管理者、エンドユーザー、開発者の生産性が高められるのも特徴だ。

Microsoftは同日、マルチコアおよびクラスタ環境におけるパラレリズムの簡略化、幅広い商用アプリケーションでの導入促進を視野に、開発者のプロダクティビティ向上に取り組むParallel Computing Initiativeも発表した。システム、ランタイム、プログラミングモデル、ライブラリ、言語拡張、開発ツールなどにおける、共通化のビジョンや指針を示す。同プログラムの成果は、Message Passing Interface (MPI) やOpenMPなど、標準ベースのツールを強化するものとなる。