野村総合研究所は、3Dバーチャル世界「セカンドライフ(Second Life)」の日米における利用実態について、9月から10月にかけてアンケート調査を実施、結果を公表している。調査の結果、米国ユーザーは、仮想のアイテムや土地建物の創造、所有、コミュニケーションの場として利用する傾向が強いのに対し、日本ユーザーは、経験価値を向上する場として利用する傾向があるという。
アンケートは、日本在住のネットユーザー100,017人と日本在住のセカンドライフユーザー1,000人およびSocial Research Foundationに所属する米国在住のセカンドライフユーザー317人を対象に実施された。
結果によると、日本におけるセカンドライフの認知度は53.6%、また「利用している(ログインしたことがある)」という回答はわずか2.4%だった。
同社では、利用経験がある2.4%の日本ユーザーの中から無作為に抽出した1,000人を対象に、サービスの感想を質問した。その結果、4人に1人は「面白かった。今後も継続的に利用したい」(27.1%)と回答するも、「あまり面白くなかったがもう少し様子を見たい」(28.4%)や「面白くなかった。二度と利用しない」(5.5%)といったネガティブな印象を抱いているユーザーも少なくないという。
また、日本のユーザーは「企業の島や建物を見られること」や「自分のアバターを作って着飾れること」「イベントやテーマパークなどで遊べること」など、セカンドライフ内で得られる体験自体にサービスの魅力を見出す傾向があるという。
一方、アメリカ在住のユーザーは、「自分のアバターを作って着飾れること」「他の人とテキストチャットを楽しめること」「モノ(オブジェクトやスクリプト)を作れること」に着目している。同社では、米国ユーザーは創造と所有、コミュニケーションの場としてセカンドライフを活用する傾向があるとし、日米のセカンドライフに対するサービス需要の相違を明らかにした。
さらに、サービスに好印象を持った日本ユーザーは、セカンドライフ内の参入企業の土地や店舗に対し、「役に立つ情報があるから」(43.2%)、「人が多く、にぎわっているから」(35.7%)、「楽しい仕掛けがある」(29.3%)という点に興味を持っていることから、経験価値を向上する場として位置付けているようだ。
野村総研では、「日本企業がセカンドライフにビジネス参入するにあたり、三次元仮想世界の特性を活かした商品説明や、従来のWebサイトでは実現できない経験を提供するなど、顧客により良い"経験創出"の場を提供することが今後の課題となるでしょう」と、セカンドライフ参入企業の方向性について見解を述べている。
なお、セカンドライフに対してネガティブなイメージを持つユーザーは、「他のことをする時間が取れない」「セカンドライフ内で何をすればいいかわからない」「お金がかかりそう」「知らない人と話すことに抵抗がある」といった理由を挙げている。同社はこうした理由がセカンドライフの利用普及の歯止めになっているのではないかとしている。