米Symantecは10月31日(現地時間)、企業のデータセンター管理者を対象にアンケート調査した報告書の最新版「State of the Data Center Research」を発表した。それによれば、対象企業が1年間にデータセンターの管理に費やす予算はトータルで66億ドル以上に上るという。近年ブームになっている仮想化(バーチャライゼーション)技術導入やサーバ統合が進みつつあるものの、SLA(Service Level Agreement)要求の高まりや管理上の複雑さから、困難に直面するケースが顕著になっている。スキル不足や慢性的な人員不足もまた、業務を遂行するうえでの障害となっているようだ。
今回の調査報告は、Ziff Davis Enterpriseによって2007年9月に実施されたもの。対象となるのは2000の国際企業や公共団体のデータセンター管理者で、企業トレンドや昨今の課題を洗い出すためのものとなる。
前述のように、複雑さを増すシステム管理に向けて仮想化やサーバ統合が進む一方で、SLAに対する要求の急激な増加に直面しているという。例えば、回答者の65%が企業内部に正式なSLA規定が用意されており、32%がその要求の増加を指摘している。また過去2年間で51%がSLAの要求を満たす際の困難に直面した経験があると回答する。SLAを満たすのを困難にする要因は、管理の複雑性、ヘテロジニアスなシステム環境、担当者のスキル不足から来るものだという。特に問題となるのがビジネスを理解した高度なITスタッフの不足で、予算不足から来る人員不足よりも大きな問題となる。回答者の86%がこうした要求を満たすスタッフの獲得を難しいと指摘しており、57%は現状のスタッフの技術レベルが要求に満たないと感じている。その原因としては、管理の複雑性や各スタッフの技術のカバー範囲の狭さにあるという。
また管理コストの増大も大きな関心事で、回答者の52%が(予算不足が原因による)人員不足に悩んでおり、69%が年率5%以上の管理コスト増加、11%が年率20%以上の管理コスト増加をそれぞれ報告している。アンケート全体の平均で、過去2年間の年間増加率は約7%となる。
これら回答者が主なコスト抑制手段として挙げるのが仮想化とサーバ統合だ。少なくとも回答者の90%がサーバの仮想化を検討しており、50%はすでに仮想化を導入する計画を進めている。サーバ統合については91%が検討段階にあり、実際の統合計画は仮想化よりもやや多い58%が進めている。また75%は、ストレージの仮想化についても検討を進めているという。仮想化を進めやすいソリューションとして、59%がWebアプリケーションを挙げており、それにデータベース管理アプリケーションが42%で続く。
複雑化や管理レベルの増大の続くデータセンターだが、コスト削減ならびにシンプルでセキュアなシステム管理を実現するためにSymantecが提案しているのは、アプリケーションからハードウェアまでを包括して管理できるインフラの標準化だ。これらを実現できる単一レイヤのソフトウェアインフラを用意することが、ひいては情報保護やSLAの拡充、管理の効率化、そしてコスト削減につながるという。