仕事と私生活を共存させる"ワークライフバランス"(以下WLB)。これを実現するための取り組みを積極的に行っている企業に対する認定制度が11月から開始する。同制度は、21世紀職業財団が開発したWLB企業診断指標(チェックシート)、および認証基準に基づき、企業や事業所がWLBの取り組み度を自己診断し、希望する事業所に対して、同財団の審査認証委員会による審査を経てWLB企業/事業所として認証するもの。認証された企業/事業所には、WLB認証マークが付与され、以後2年間を有効期間として、マークを使用することが可能になる。
「社員を大切にしています」と書かれたWLB認証マーク |
認定には、厚生労働省の「次世代育成支援法」に基づき策定した行動計画で一定の成果を挙げた企業に対して認められる「くるみんマーク」を事前に取得していることが条件。認定を希望する事業者が同財団に対して申請を行い、書類と実地審査を経て、該当する場合に認定される。
審査の基準としてもっとも重視されているのは、正社員の労働時間と休日、休暇。また、勤務場所も視野に入れて判断する。具体的には、
- WLBに取り組むことが、経営・人事方針として明らかになっているか
- 心身へ過大な負荷を与えるような長時間労働となっていないか
- 仕事と仕事以外の生活との両立を困難にするような恒常的な時間外・休日労働が行われていないか
- 休日・休暇など仕事から自由になる機会が確保されているか
- 家庭責任としてもっとも就業に影響を及ぼす要因である育児・介護について、仕事との両立に配慮がなされているか
- 社員の多様なニーズに配慮し、仕事以外の生活において自己実現を図ることを支援しているか
以上の6点を軸にした指標を策定している。
こうした認証制度の設立には、人口減少に伴う人材難が背景にある。また、ビジネスのグローバル化などにより、競争力の強化が必要とされる企業がその原動力となる有能な人材を確保するためには、これまで以上に職場環境が重要視されるようになっている。そうしたなかで、昨今「WLB」という考え方が注目されるようになってきた。しかし、企業が実践するWLBを評価することは難しく、より明確で客観的な判断基準として、同制度が策定された。同財団では今回開始する制度について「一定のレベルのWLB度を実現している企業を『社員を大切にするエクセレントカンパニー』として認証する仕組み」と説明している。