Mozillaは24日(米国時間)、Mozilla Labsにおいて、デスクトップエクスペリエンスとWebアプリケーションをシームレスに統合する実験的取り組み「Prism」を発表した。現在のPCエクスペリエンスはWebアプリケーションの利用機会が増大しているにもかかわらず、デスクトップアプリケーションの優れた点を実現できていないとし、もっとシームレスにWebアプリケーションをデスクトップに融合していくことを目的としている。
WebアプリケーションはWebブラウザの内部で実行する。Webアプリケーションはそれ自身で操作性を実現しているが、WebブラウザにはWebアプリケーションの動作とは関係なく「戻る」、「進む」、「再読み込み」、「アドレスバー」などの制御機能が存在する。Ajax Webアプリケーションではなおのこと、Webブラウザが提供している制御機能は不要であることが多い。それに多くの場合、デスクトップアプリケーションはOSの提供しているメニューやコマンドラインから起動するが、WebアプリケーションはWebブラウザから起動するというように、操作のセマンティックに違いがある。
Prismではこの点に注目し、デスクトップアプリケーションとしてシームレスに起動できるWebアプリケーションを簡単に提供することを目的としている。これはもともとWebRunnerとして開発されてきたものだが、今回名称を「Prism」と変更し、より意味的な目的をはっきりさせてきた。名称を変更した背景にはユーザにプロジェクトの目的をよりはっきり示す意図がある。プリズム(Prism)は可視光をスペクトルの色に分離する装置だ。Prismというプロジェクト名にはプリズムの動作にあやかって、Webという可視光をPrismで分離してデスクトップアプリケーションに投影するという意味が込められている。
プロジェクトはいままさに進行しており、どのような方法、どのようなUIで実現していくかは今後の取り組みで明かになる。どのようなものになるかわからないが、FirefoxからもPrism単体としても使える仕組みにはなっていくようだ。Webアプリケーションとデスクトップアプリケーションの融合はWebアプリケーションにもデスクトップアプリケーションにも利益がある。こうした取り組みはGnomeのオンラインデスクトップやFlex、Silverlightなど方法は異なるが、よく似た目的へ向かって開発が進められている。