日本オラクルは26日、ITガバナンスやセキュリティに関する団体であるISACA(Information Systems Audit&Control Association)、ITGI(IT Governance Institute) Japanと協業して翻訳した書籍「セキュリティ、監査、コントロールの特徴 Oracle E-Business Suite」が出版されたと発表した。今回の協業は、ITガバナンスへの取り組み支援と日本市場におけるERPの普及を目指す取り組みの一環として行われている。
ISACAは1993年に設立され、140カ国に5万人以上の会員を持つ。ITガバナンスやコントロール、セキュリティに関する国際会議の主催や、情報システム監査などの国際標準の策定を行っている。ITGIはISACAを支援する組織で、1998年に設立。日本支部となるITGI Japanは、2006年に設立された。
今回発表されたのは、ISACA本部と米オラクルが協業して出版された「Security,Audit and Contorol Features Oracle E-Business Suite」の日本語版で、翻訳にあたり日本オラクルが協力。ISACAのホームページで販売されている。
日本オラクル執行役員でアプリケーションビジネス推進本部長の藤本寛氏は、同書出版の発表会において、「日本語版の出版に関しては、OAUG(Oracle Applications Users Group)からの熱い要望があった。同書では、技術者のレビューやソリューションや事例の紹介がなされており、今回の協業をきっかけに、ISACAやITGIが主催、協賛するセミナーなどにおいても協業したい」と述べた。
同発表会にはその他、ITGI Japan事務局長の梶本政利氏と、中央大学理工学研究科客員教授の島田裕次氏が、ITガバナンスについての説明を行った。
梶本氏は、ITガバナンスを行う上でのポイントとして、「経営目標に向かってプラスとマイナスの作用をうまくバランスさせながらコントロールすることが必要」とし、今回出版された「セキュリティ、監査、コントロールの特徴 Oracle E-Business Suite」について、「ERPを採用していない企業などでセキュリティやコントロールに責任を負う人にとっても、『適切なセキュリティやコントロール』とはどのようなものであるかを理解するために良い参考になる」と紹介した。
また島田氏は、日本企業のITガバナンスへの取り組みについて、「日本版SOX法に対応した財務報告の信頼性に偏った対策を行っている」とし、「ITガバナンスは本来コーポレートガバナンスの一部であり、日本版SOX法に対応すればITガバナンスが確立するわけではない」と主張。そのために、「ビジネスとの関係を重視しているCOBITのフレームワークが参考になる」と説明した。