韓国最大の国際空港である仁川国際空港における出入国手続きが、今後はもっとスピーディになりそうだ。

仁川国際空港の管理に当たっている仁川国際空港公社と、出入国関連事務を担当している仁川空港出入国管理事務所は、統合乗客情報システムと自動出入国審査システムの開発のための覚書(出入国体系改善試験事業の覚書)を締結したと発表した。

今回開発される統合乗客情報システムは、搭乗券発給段階から飛行機への搭乗が完了するまでのすべての過程を出入国審査システムと連携および処理するという内容だ。これにより航空券をチェックイン手続きする段階で、利用者の出国の可否が確認できるようになる。

また自動出入国審査システムは、仁川国際空港を出入りする韓国内外の利用者を対象に、指紋や顔の情報を事前に登録しておくことで、空港の出入国時に審査官による審査を受けなくても自動出入国審査台(Automated Clearance System)で自動手続きを行えるというものだ。このシステムが導入されれば「約3分かかっていた出入国手続きが20~25秒に短縮される」(仁川国際空港公社)という。

いずれも出入国に際する審査の手間を省くことができるため、出入国時にパスポートを片手に長い列を作って審査の順番を待つ、という不便が減ることになりそうだ。

同システムは2007年10月から2008年5月にかけて開発する予定だ。仁川国際空港公社では「来年5月に出入国体系の改善事業が終われば、仁川国際空港におけるすべての出入国乗客情報や乗換え客の情報が統合的に管理され、より素早い出入国サービスが提供できる」と述べている。

同公社は2006年から「中長期経営戦略」の一環として、"ユビキタス空港"の実現を目標としている。これは空港内でのむだな時間を最小化して、利用者が有意義な時間を過ごせるよう、ITおよびバイオテクノロジー技術を連動した出入国手続きの簡素化などを推進するという事業だ。仁川国際空港のユビキタス空港化が実現すれば、特に韓国に出入りの多い日本人の利用者は、多くの恩恵を受けられることになるだろう。