中国を中心にセキュリティソフトやオンラインゲーム事業を展開する「北京金山軟件 (Kingsoft)」はこのほど、香港証券取引所に上場した。公募価格は1株3.6香港ドル(約55円)だったのに対し、相場が軟調な香港証券取引所において、同日の終値で1株5.0香港ドル(約77円)をつけるなど、好調なスタートを切った。
今回の上場はリーマンブラザーズとドイチェ証券を共同主幹事とするもの。公募で90倍を超える申し込みがあり、上場直後も買い取引が集中したようだ。
金山軟件が投資家に好感をもたれた原因は、「オンラインゲーム+ソフトウェア」のビジネスモデルを評価されたからだと業界筋は観測している。同社は日本にも子会社を持っており、「Microsoft Office」とも高い互換性をもつオフィスソフトや総合セキュリティソフトを販売している。また、オンラインゲームでも「剣侠情縁」「封神榜」などのヒット商品を持つ。中国でオンラインゲーム市場が急拡大を遂げていることや、正規版ソフトウェアが普及しつつあるという社会背景も、同社の評価を高くする要因となっている。
金山軟件の株主であるIntelアジア太平洋地域総裁の張仲氏は、「金山軟件が香港株式市場に上場したことをお祝いする。アジアのソフトウェア会社が新技術を活用し、新機軸を打ち出し、認められた象徴的な出来事だ」と述べた。
さらに金山軟件の雷軍総裁兼CEOは、「(上場した日付である)2007年10月9日は、金山軟件、ひいては中国のソフトウェア産業にとって一つの節目となった。上場後は研究開発予算を拡大、優れた技術者を募集し、ユーザー第一主義をさらに徹底していく」と語った。