フィードパスは16日、同社が提供するSaaS型Webメールサービス「feedpath Zebra」とWeb型グループウェア「サイボウズOffice 6 for ASP」を、自社SaaSプラットフォーム上で連携させる新サービスの開始を発表した。フィードパスは、企業向けアプリケーションソフトウェアのSaaSビジネスを推進するためにサイボウズ、住友商事、ngi capitalが共同出資して設立した戦略子会社。近年の国内におけるSaaS関連市場の拡大を背景に、企業向けのさまざまなSaaS型サービスを展開している。

そのうちのひとつである「feedpath Zebra」は、米国Zimbra社が提供する「Zimbra Collaboration Suite」をベースとしたWebメールサービスである。Webメール機能のほかにアドレス帳やスケジューラ、ドキュメント共有などの機能を利用することができる。システム連携の仕組みも備えており、他のSaaS型アプリケーションと連携することよって企業ニーズへの柔軟な対応を実現する。

一方、「サイボウズOffice 6 for ASP」はサイボウズ社の提供する「サイボウズOffice」をベースとして提供されるWeb型のグループウェア。国内No.1のシェアを誇るサイボウズOfficeの機能をWebベースで利用することができる。

今回同社が発表したのは、「feedpath Zebra」のメール機能と「サイボウズOffice 6 for ASP」のスケジューラ機能を連携させることができるというサービス。具体的には以下のようなことが可能になったという。

  • 「feedpath Zebra」へ「サイボウズOffice 6 for ASP」に登録されたスケジュールをインポートできる
    • 任意のタイミングのほかに、ログイン時に自動的に取得することも可能
  • メール本文に含まれる日付情報に連動してスケジュールを表示できる
    • 「本日」「10/16」などの文字列にマウスカーソルを合わせることで対象の日付のスケジュールを表示する
  • 「feedpath Zebra」「サイボウズOffice 6 for ASP」双方のスケジュールを表示可能
  • メール本文に含まれる日付情報から「サイボウズOffice 6 for ASP」にスケジュールを登録できる
  • 「feedpath Zebra」から「サイボウズOffice 6 for ASP」の他のユーザのスケジュールを共有できる

「サイボウズOffice 6 for ASP」から「feedpath Zebra」へのスケジュールの読み込み

メール本文の日付情報からスケジュールを登録できる

フィードパス 事業企画室 室長 葛山哲司氏

今回デモンストレーションを行ったフィードパスの事業企画室 室長 葛山哲司氏は「日本のビジネスの現場では、スケジュールや作業内容の管理などにグループウェアを利用していたとしても、メールだけは独立したアプリケーションを使うという傾向が強い」と指摘する。そこで同社では、双方のサービスを連携させることができればよりスムーズなスケジュール管理が可能となり、業務効率を大きく改善することができると考えたという。

もっとも、「feedpath Zebra」でも単体でスケジューラの機能を持っている。葛山氏によれば、社内におけるグループでのスケジュール共有という点ではサイボウズOfficeの持つ機能の方が優れており、この連携によって組織としてのスケジュール管理がより充実するという。優れたものを積極的に採り入れる"マッシュアップの理念"に適っているといえる。

この機能は「feedpath Zebra」の持つマッシュアップインタフェース「Zimlet」を利用して実装されているという。Zimletは、メール本文に含まれる条件にマッチした文字列を自動認識し、関連するWebサービスを呼び出す仕組み。この仕組みによってさまざまなサービスやSaaS型システムとの連携を柔軟に実現することが可能となっている。

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

スケジュールの読み込みは「サイボウズOffice 6 for ASP」側のAPIを呼び出すことによって実現している。この点についてサイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏は、「サイボウズでも近年APIの整備を進めてきており、他のソフトウェアと組み合わせる可能性を模索してきた。フィードパスとの連携はその成果のひとつだ」と語っている。

同社では従来よりASPサービスへの対応に力を注いできたが、SaaSへの対応はその延長線上にあると同氏は言う。戦略子会社として他社と共同でフィードパスを設立した背景にも、SaaSの思想に則って他社製ソフトウェアも連携できるようにするという狙いがあるからだ。同社としては、今回の連携サービスの開始を皮切りに、「フィードパスを日本のSaaS提供母体にしていきたい」(青野氏)とのことである。

「feedpath Zebra」および「サイボウズOffice 6 for ASP」は、それぞれフィードパスより月額ライセンスの形式で提供されている。同社では今回の発表に伴ってキャンペーンを実施し、1ユーザあたりのライセンス料金を半額の1,980円で提供するという。キャンペーン期間は2007年10月16日から同12月14日までの2カ月間。期間中に両サービスを新規契約したユーザを対象に、永続的にキャンペーン価格での利用を可能にするという。詳細はキャンペーンサイトを参照のこと。

フィードパス 代表取締役社長 CEO 津幡靖久氏

前述の通り、フィードパスは企業におけるSaaS導入の積極化を見込んで設立された会社であり、「情報系サービスによるビジネス基盤の確立」をスタート地点として、将来的には「基幹系アプリケーションへのSaaSの取り込み」を目指していきたいと、同社代表取締役社長 CEO 津幡靖久氏は語る。そのために他社サービスとの連携や多種多様な運用オプションの提供などを積極的に推し進め、パッケージソフトウェアにはない「情報共有プラットフォーム」としての価値を創出していきたいとのことだ。