アプリケーション開発、Webサイト構築にはコラボレーションが欠かせない時代となってきた。マイクロソフトのExpression Studio、Silverlightは、いずれもコラボレーションによる生産性の向上もたらす特徴を持つという。同社のProduct Management, UX Platform & Tools担当ディレクターのキース・スミス氏(Keith Smith)にExpression Studio、Silverlightについて話を伺った。
Expression Studioは、マイクロソフトが提供するWebデザインスイート。Webサイトデザインができる「Expression Web」、Webアプリケーション開発ができる「Expression Blend」、グラフィックデザインツールである「Expression Design」、作成したデータを管理する「Expression Media」が含まれる。
――Expression Studioはスイート製品ですが、どういった人たちに向けた製品ですか?
キース・スミス氏:Expression StudioはWebデザイナーのためだけにリリースした製品ではありません。幅広いユーザーをターゲットにしており、プロのデザイナー全体に使用してもらうことを念頭において開発した製品です。また、Webアプリケーション、モバイルアプリケーション、ウィンドウズアプリケーションといったものを制作している人たちをも対象にしています。マイクロソフトはいままで.NETというプラットフォームを提供してきました。デザイナーの方々向けにVisual Studioというツールも出しています。しかし、プロ向けの製品が欠けていました。ですから、今回Expression Studioをリリースすることでそのギャップを埋めたいと考えました。
――クリエイターにはMacユーザーもいますが、Expression StudioがMac対応となる可能性はありますか。
キース・スミス氏:多くのプロのクリエイターがMac OS X環境を利用していることは認識しています。その人たちの大部分は、Windows上あるいはWindowsのサーバ、Linuxのサーバ上で動作するアプリケーションを作成しているので、そのアプリケーションをしっかりとテストできるようにしたり、開発・デザインのエクスペリエンスを確認できることが重要だと考えています。
例えば、Visual Studio 2008を使ってMac上で動くSilverlightアプリケーションの開発やデバッグをする場合には、実際の実行をSafariやFireFox上で行うので、Macにフレンドリーなフィーチャーを開発用として用意しました。
しかし、Expression StudioのMacへの対応については、デザインツール、開発ツールをMac OS X上においてネイティブでサポートする計画はありません。なぜなら、Parallels Desktop のように、Mac OS X上でバーチャルにWindowsを起動させる技術はすでに実現されているので、デザイナーの方々がMacでExpression Studioを使うことができる環境はすでにあるわけです。
――他のデザインツールや開発ツールを使用しているユーザーにExpression Studioを使ってもらうためにどんな戦略をお考えですか。
キース・スミス氏:これからのアプリケーションやWebサイトは、例えばデザイナーの仕事だけで完結する世界ではなくなってきています。開発者とデザイナーがコラボレートしないと新しいプラットフォームは支えていけないでしょう。マイクロソフトはデザイナーと開発者とのワークフローをしっかり作り、今後の制作環境を整えていこうと考えています。
Microsoft Expression StudioはExpression Blend 、Expression Design 、Expression Web 、Expression Mediaからなる |
Expression Blendはそれ単体でインタフェースを構築できますし、その周りのインターアクションも取り扱えます。また、XAML(ザムル)という言語を使うことによって、同じプロジェクトに関わっている開発者やクリエイターが同じファイルフォーマットで作業でき、作業の時間短縮を実現することができます。これが他社にはない特徴だと思います。
Expression Webでは、Web標準のCSS、XHTMLをサポートし、さらにASP.NETの開発においてはExpression WebのほうがDreamweaverより優れています。最新のプラットフォームテクノロジーであるSilverlightでは、AJAXもJavaScriptもサポートすると同時にXMLベースのユーザーインタフェースでのプレゼンテーションフォーマットもサポートしています。ですからあらゆるクリエイターの方々が、デザイナーの人たちとより容易にコラボレートができるようになり、最終的なデザインの仕上げも短時間で行うことができます。