米マイクロソフト コネクテッドシステムズディビジョン パートナー戦略担当 ダン・オーリング氏

マイクロソフトは、ビジネスプロセス管理/業務システム連携製品の最新版「Microsoft BizTalk Server 2006 R2」日本語版の製品概要を発表した。「BizTalk Server 2006 R2」は、RFID(Radio Frequency Identification:無線ICタグ・ラベル)ミドルウェア機能などを備えており、同社はRFID市場に本格参入する。また、この製品を日本市場で、いっそう拡大させるため、ソリューション提案の強化とともに、パートナー企業との協業強化をさらに重点化している。

RFIDは、無線通信のネットワークにより、生産現場から小売業者の店舗の棚に至るまで、商品の流れを綿密に追跡でき、在庫管理、資産追跡の管理を効率化できる。今回の「BizTalk Server 2006 R2」の目玉は、RFIDへの対応に注力したことだ。「Device Service Provider Interface(DSPI)」と呼ばれる、デバイスを接続するインタフェースを用意し、異種RFIDデバイスを統一的に管理できるようにしており、デバイス特性、あるいはデバイスの監視などを、RFIDをシステムに組み込んで事業に活用しようとする「エンドユーザー」に意識させないよう「抽象化」している。

この「抽象化」の枠組みのもと、APIやソフトウェア開発キットも提供されることで、各デバイスの接続ドライバ開発が容易化するとともに、RFIDデータを読み取る段階での開発工数を削減でき、BIへの適用など、データを有用に活用することに開発を集中させることができる。SQL Serverの分析機能を利用することも可能だという。

また、各種APIや、通信基盤技術である「Windows Communication Foundation(以下、WCF)」を介し、「Office SharePoint Server 2007」など「Office System」と連携できる。さらに、BizTalk Serverのアダプターなどにより、パートナーのソリューションのほか、ERP製品など、さまざまなシステムとの連携も円滑化する。

開発環境の点では、「Visual Studio 2005」を基盤とすることで、作業を簡素化しており、同社では「開発工数を大きく削減できる」としている。

米マイクロソフトのコネクテッドシステムズディビジョン パートナー戦略担当 ダン・オーリング氏は「複数のプラットフォームやシステムが共存しているなか、さまざまなビジネスプロセスをシームレスに接続したいとのニーズがある。マイクロソフトは、『BizTalk Server 2006 R2』により、これらの統合を、プラットフォームやアプリケーションに依存することなく実現することを可能にしている。多様なシステムから得られるデータを組み合わせ、有用な情報とし、それに基づいて行動することができるしくみを提供できる」と話す。

マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 アプリケーションプラットフォーム製品部長 野田良平氏

同社では、企業内の多様なシステムを連携、統合させる、いわゆるEAI(Enterprise Application Integration)サーバー製品の国内市場規模を約200億円とみているが「最近は、EAIのソリューションは、基幹業務向けの用途が増えており、売り上げ規模は拡大している」(マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 アプリケーションプラットフォーム製品部長 野田良平氏)とともに、RFID関連市場の成長性が高いことから、「BizTalk Server 2006 R2」に大きな期待をかけている。

「BizTalk Server 2006 R2」推進戦略の機軸は「ソリューションとしての訴求」(同)であり、RFIDなどによる、単なるデータ収集の段階から一歩進み、それらのデータを、分析や事業のうえでの意思決定支援に活かすシステムの構築を目指し、「RFIDをエッジとしたフルプラットフォームのソリューション」(同)を提示していく意向で、まず、製造業、流通業向けに浸透を図る。オーリング氏は「POSなどの導入で、商品の品目詳細などがよくわかるようになったが、それらの情報を企業の最前線で、どう役立たせるのかといった点が見過ごされていたのではないか。このような情報をビジネスプロセスに組み込んで活用すれば、先行できる」と指摘する。

実際の展開での重点としては「パートナーとの緊密な連携に尽きる」(同)としており、パートナーの数を増やすだけでなく、彼らの能力を増強させることを主眼とする。野田氏は「技術力、開発力、営業力など、パートナーそれぞれの強みをさらに向上させるための支援を個別に実践していく」と語る。概括的な情報の提供、事例紹介から、技術情報の提供、ソリューション開発/検証支援を通じ、最終的には、商談の後押しまでを同社では考えている。

また、流通業に対しては、「BizTalk Server」のシステム環境を利用した流通業のサプライチェーンビジネスの開発、推進を目的に「バリューチェーン研究会」を設立、30社ほどのパートナーによるコミュニティを形成する。