米Xeroxは10月4日 (現地時間)、赤外光を照射すると隠された文字などを読み取れる印刷技術「InfraredMark Specialty Imaging Font」の詳細を明らかにした。チケット、クーポン、証明書、ID文書などの偽造防止に利用できるという。
InfraredMark Specialty Imaging Fontには専用のインクや紙は必要なく、通常のトナーを使ってxerographicイメージを形成して実現している。同技術で印刷された文書をコピーすると、隠された文字やイメージが崩れて赤外光を照射しても読み取れなくなる。少ないコストで、効果的な偽造防止の仕組みを実現できるのが特徴だ。
同技術は、CMYKを構成する藍色(Cyan)、深紅色(Magenta)、黄色(Yellow)、黒(blacK)が、それぞれ赤外光に異なる反応を示すのを利用している。開発者の1人である主任研究員のRaja Bala氏によると、CMYKのコンビネーションを工夫するだけで、通常の光では同じような色に見えても、赤外光を吸収する度合いが全く異なる2色が可能になる。1色を文字に、もう1色を背景に使って重ねて印刷すると、通常の光では文字を読み取れないが、赤外線を照射すると文字が浮かび上がる。同社は、これをxerographicカラーシステムの仕組みを利用して印刷可能にした。
通常の光では青く塗りつぶされているようにしか見えない部分に隠されたテキストを赤外線カメラで読み取る主任研究員のRaja Bala氏。ノートPCの画面では「XEROX A-395」という文字が見えている |
この技術は、Xeroxが9月に発表したFreeFlow Variable Information Suite 6.0に取り入れられており、ドキュメントのパーソナル化、認証・証明、偽造防止に利用されている。ここ数年同社は、低コストで効率的にドキュメントのセキュリティを高める技術の開発に力を入れている。これまでに、100分の1インチの極小フォントを実現する「MicroText」、ホログラムのような効果でドキュメントを傾けた時に文字を読み取れる「Glossmark」、紫外線を照射すると読み取り可能になる「FluorescentMark」などの技術を送り出してきた。