米Adobe Systemsは1日、モバイル機器向けFlash Playerの新版「Flash Lite 3」をリリースしたことを発表した。ここでは、Adobe MAX 2007 North Americaにおいて行われた米Adobe Systems モバイル&デバイスソリューション部 テクニカルマーケティング担当ディレクター Anup Murarka氏による説明を基に概要を報告しよう。
Flash Lite 3は、Flash Player 8をベースに開発されている。最大の特徴はFlash Videoに対応した点。これにより、「従来はPCでしか見ることができなかった映像コンテンツを携帯電話等でも見れるようになる」(Murark氏)という。なお、Flash VideoはYoutubeなどで利用されており、「70%のシェアを誇る、世界で最も普及している動画ファイル形式」(Murarka氏)だ。
Flash Liteは、すでに3億を超えるデバイスに搭載されており、「2010年には10億デバイスにまで伸びる」(Murarka氏)と予想されている。携帯電話に限らず、PlayStation 3、Wii、PlayStation PortableなどにもFlash Player SDKが搭載され、インターネット上のコンテンツをより身近なデバイスで閲覧できる環境が整備されつつある。
「モバイル端末の環境を整えることは、Adobeが長年にわたり取り組んできているテーマである」とMurarka氏は語る。リソースが豊富でないモバイル機器では、PC向けのアプリケーションを実行するのは難しい。そのため、サービス提供者にとっては、モバイル向けサービスとPC向けサービスを分けて製作しなければならないという状況が続いていた。こうしたギャップを埋めることを目標にAdobeではFlash Liteの開発を進めているという。今回、Flash Player 8ベースのFlash Liteがリリースされたことで、そのギャップは大きく軽減されるという。
Flash Lite 3のメリットは、Flash Videoが閲覧できるようになるということだけではない。リソース管理機能が強化され、モバイル機器の資源が以前よりも効率的に利用されるようになった。環境に起因する制限が減り、以前は断念せざるをえなかったリッチなモバイルアプリケーションも提供できるようになったわけだ。Murarka氏は、「Flash Lite 3のリリースにより、今後、よりインタラクティブなモバイルアプリケーションが登場するはずだ」と自信を覗かせる。
Flash Lite 3については、すでにNTTドコモ/ノキアが対応を表明している。「数ヶ月後には対応端末が発表されるだろう」(Murarka氏)とのことだ。Flash Lite 3のリリースによりモバイル機器はどのように進化していくのか。対応端末のリリースを心待ちにしたい。