日本経済新聞社、朝日新聞社、読売新聞グループ本社の3社は1日、都内で共同会見を開き、インターネット事業、販売事業分野および災害時における新聞発行の相互援助に関する業務提携を発表した。インターネット分野については2008年はじめに3社協同のポータルサイトを立ち上げる予定となっている。

左から、朝日新聞社代表取締役社長 秋山耿太郎氏、日本経済新聞社代表取締役社長 杉田亮毅氏、読売新聞グループ本社代表取締役社長 内山斉氏

発表を行った新聞大手3社はすでにニュースサイト「NIKKEI NET」「asahi.com」「YOMIURI ONLINE」を運営しているが、各ニュースサイトは存続し、2008年はじめから新たに共通のポータルサイトを開設する。共同ポータルからは各サイトの詳細記事へ読者を誘導するほか、「各社単独では展開できないサービスを共同配信することで(サイトの)価値を高めていきたい」(日本経済新聞社代表取締役社長 杉田亮毅氏)。サービスの詳細については現在検討中とのこと。事業は民法上の組合を設立して推進していく。

また各社が現在、Yahoo! JAPANやGoogleなどのポータルサイトに行っている記事提供は、共通ポータルの開始後も継続される。あらためて3社がポータルサイトを持つことの意義について杉田氏は、「真のニュース配信社である新聞社のネット社会における発言力を高めていくことが狙い」。多くのポータルサイトのニュースが、実際には新聞社から配信されている現状を指摘し、ネット経由の読者に対して新聞社の存在をアピールしていきたい考えだ。

3社は販売事業でも提携していく。多様な言論を提供する新聞社として、山間僻地など過疎が進む地域における戸別配達ネットワークの維持は急務。読売新聞グループ本社代表取締役社長 内山斉氏は、「今回の3社提携は、ネット分野を活用して新聞を断固、維持、強化していくのが目的」。そのためにも新聞販売網の強化、段階的な販売の共同化を進めていく。なお、販売の共同化は各社の販売政策を優先し、販売競争のない地域などを選択しながら進める。

災害時における新聞発行の相互援助については、大規模災害時に関わらず、部分的な障害の発生時にも相互援助することに合意した。紙面制作や印刷の代行、輸送の支援などが含まれる。印刷工場に障害が起きた場合は、提携社の工場にデータを送信して印刷するといったバックアップ体制を敷く。

3社の業務提携については、「各社の個性を大事にしながら、言論活動の土台を作る」(朝日新聞社代表取締役社長 秋山耿太郎氏)。ライバル関係を保ちつつ読者サービスの向上に努め、紙、ネットの隔てなく、言論機関としての役割を強化していく。なお、3社の取り組みに賛同する他社の参入についても検討するとした。