欧州連合(EU)の独立系シンクタンクとなるGlobalisation Instituteは、OSの市場競争を促進し、オープンソースOSなどの普及をサポートするための提案が盛り込まれた最新調査報告書を欧州委員会(EC)に対して提出した。

同調査報告書は、先月半ばに欧州司法裁判所の第1審裁判所(Court of First Instance)が下した、マイクロソフトの欧州連合競争法(独占禁止法)違反に関する欧州委員会決定を支持する判決を受けて用意。OS市場で、今後一層の公共の福祉に資する有意義な競争促進を目指す上で、究極の提案を行うことになったと説明されている。

その提案では、欧州委員会に対して、EU域内で販売される全てのデスクトップPCおよびノートPCにOSを搭載せずに提供することを義務付ける法的な環境整備を進めるよう求ている。PCの購入ユーザーは、最初にPCを立ち上げる時に、自分で個別に購入したOSをインストールすることになる。

同シンクタンクは、現在、EU域内のほぼ全てのPC販売店で、Windowsを搭載するPCが圧倒的シェアで販売ラインナップに並んでいる実態を憂慮。PCを購入したいと考える人に対しては、Windowsのソフトウェアライセンス料金を支払って、Windowsが搭載されたPCを購入する選択肢以外は用意されていない状況が当然のこととして受け入れられているものの、今回の提案が実施されるならば、無料または低価格の他のOSを導入する人が大幅に増加すると分析している。

OS市場での競争促進によって、Windowsの圧倒的シェアの前に、新規参入が困難だった他の数々のOSにもチャンスが訪れ、技術革新が進むメリットは大きいとされている。また、これまで欧州企業がWindows購入のために支払っていた膨大なコスト削減につながり、欧州経済の発展にも寄与することになるとの判断が示されている。