中国公安部がこのほど発表した調査結果によると、中国の情報セキュリティ関連事件の発生率が3年連続で上昇傾向にあることがわかった。

今年6月、中国公安部の公共情報ネットワークセキュリティ監察局が「2007年度全国情報ネットワークセキュリティ状況ならびにコンピュータウイルス被害状況調査」を実施。中国で2006年5月から2007年5月までの間に発生した情報セキュリティ関連事件、コンピュータウイルスによる被害状況などについて調査を行った。調査に協力した情報ネットワーク企業、団体などは15,000社近くに上る。

調査結果によると、情報セキュリティ関連事件の主な内容は、ワーム、トロイの木馬などウイルスへの感染、スパムメール、スパイウェア、ウェブページの書き換えなどが挙げられる。

近年、情報セキュリティ関連事件の発生が増大している原因として、急速な情報化が考えられる。ネットワーク利用者のセキュリティ意識はいくらか高まったものの、セキュリティ管理者の能力不足、専門知識の欠如、情報セキュリティサービス業の発展が追い付かないことが指摘されている。

また、ウイルス感染数は昨年まで2年連続横ばいだったのに対し、今年は過去最高レベルに達しそうだという。特に、ウイルスがフラッシュメモリーなどのストレージメディアを通じて広がる傾向が目立ち、昨年から今年にかけて感染ルートの23%から40%へと上昇している。

また、スパイウェアやトロイの木馬が顕著に増加。「熊猫焼香(パンダの線香あげ)」「木馬代理」「ネットゲーム盗賊大将」「伝奇木馬」など、金銭を狙う危険なプログラムが大量に広がり、多くのユーザーの利益を脅かしている。

今回の調査結果について、中国公安部公共情報ネットワークセキュリティ監察局は、公安機関が関係部門と密接に連携し合い、情報セキュリティの級別保護作業の推進を加速したいとしている。情報ネットワーク利用者に対するセキュリティ監督、指導をさらに強化し、ユーザーの情報セキュリティ防犯意識の引き上げ、ネット犯罪の通報ルートを完備する。

また、ウイルスの蔓延、ネットワークに対する攻撃、特にトロイの木馬を利用したネット上での窃盗、詐欺などの違法行為に対する取り締まりを一層強化していくとしている。