米AppleのCEO、Steve Jobs氏が米証券取引所委員会(SEC)から召喚されたようだ。米Bloombergをはじめ、各紙が報じている。この召喚は、ストックオプションの不正付与問題でSECにより提訴されている元Apple幹部の訴訟に関連したものであって、Jobs氏自身が疑いを持たれているのではないようだ。
このニュースを9月20日付けで最初に報じたBloombergは、関係者2人より情報を得たとしている。それによると、これはJobs氏自身に対するものではなく、Jobs氏はAppleの元法務顧問であるNancy Heinen氏の訴訟で証言を求められているようだ。
Appleは2006年、ストックオプション不正付与問題でSECによる調査を受けた。ここでAppleは、ストックオプションの付与日を操作することで利益を水増しする"バックデーティング"手法が用いられたという疑いがかけられ、SECは今年4月にHeinen氏らを起訴した。2006年5月にAppleを退社していたHeinen氏は、Jobs氏の750万株分のストックオプションバックデーティングなどに責任があるとの疑いがかけられているが、Heinen氏はこの容疑を否認してきた。このストックオプション問題ではこのほかにも、元CFOのFred Anderson氏が起訴されたが、Anderson氏は約350万ドルの罰金支払いとともに和解している。SECは4月にHeinen氏らを起訴した際、Appleは起訴しない方針を明らかにしていた。
Appleは2006年10月、この件に関する社内調査結果を発表している。それによると、1997 - 2002年の間、15件の不正操作があったという。また、Job氏は一部について日付変更に気がついていた可能性があるが、自身は操作に関与しておらず、会計に与える影響も認識していなかった、と報告している。だが、Anderson氏がその後、Jobs氏に説明していたことを明らかにしたため、騒ぎは再び大きくなった。これに対しAppleは「Jobs氏が社内調査やSECによる調査に協力した」としている。
Bloomberg紙によると、元SEC弁護士は「今回の証言で、Jobs氏はストックオプション付与における自身の役割について質問されるだろう」と予想しているという。
Heinen氏の法廷書類によると、SECからの召喚状は8月16日付けで発行されており、証言予定日は11月7日という。