独SAPは19日(現地時間)、中規模企業をターゲットとしたオンデマンドサービス「SAP Business ByDesign」を発表した。開発コード名「A1S」として開発を進めてきたもので、米Salesforce.com、米NetSuiteなどがリードしているSaaS市場に参入することになる。
Business ByDesignは、ERPをはじめとしたSAPの業務アプリケーションをオンデマンド形式で配信するSaaSソリューション。ユーザー企業は、サブスクリプション形式でSAPアプリケーションを利用する。SaaSは、自社にインストールせずにWeb経由で業務アプリケーションを利用できることから、TCOの削減、迅速な実装などのメリットがあるといわれている。SalesforceなどのSaaS専用プロバイダのほか、SAPのライバルである米Oracleもこの形式で自社業務アプリケーションを提供している。
Business ByDesignの特徴は、SAPのアプリケーション統合プラットフォーム「SAP NetWeaver」をベースとした点。これにより、SOAのメリットを享受でき、市場の需要に合わせて柔軟にビジネスプロセスを変更でき、かつ将来の投資も保護するという。
SAPはBusiness ByDesignで、主として従業員100人から500人の中規模市場を狙う。この市場はSAPにとって新規開拓となる市場で、以前よりこの2年間で3億から4億ユーロを投資して強化する計画を明らかにしていた。同社はすでに、中小規模企業向けとして「SAP Business One」「SAP Business All-in-One」「SAP Business Suite」を展開しており、新製品はこれを補完するものとなる。SAPによると、今後、Business ByDesignローンチにあたり大規模なマーケティング活動を行う計画という。
Business ByDesignの価格は、25ユーザー以上の場合で1ユーザー月額149ドルから。機能を縮小したグループ料金は、5ユーザー単位で月額54ドル。まずは、米国とドイツの一部顧客に向けて提供を開始しており、年内に、英国、フランス、中国で早期導入プログラムを開始し、市場の需要を開拓する。その後、2008年以降、オーストラリア、インド、イタリアなどの市場に拡大していくという。