2007年9月14日に、理研と富士通、日本電気、日立製作所の4者は連名で、次世代スーパーコンピュータシステムの構成を決定したと発表した。
次世代スーパーコンピュータプロジェクトは、正式には「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータ開発利用」プロジェクトと呼ばれ、1100億円あまりの国家予算を投じ、文部科学省が推進するプロジェクトだ。これにより、世界に冠たる高性能のスーパーコンピュータを開発し、また、このスーパーコンピュータでバイオやナノサイエンスなどのシミュレーションを行い、これらの科学技術分野でも世界の最先端を切ろうということで、日本の科学創造立国政策の重要な柱と位置づけられている。そして、このスーパーコンピュータシステムの開発は、文部科学省から独立行政法人 理化学研究所(理研)に委託されている。
今回の理研とメーカー3社の発表資料に掲載された開発スケジュールは以下のようになっており、システムの稼動は2010年度末(2011年3月)、完成は2011年度末(2012年3月)となっている。
そして現在、システムに関しては、演算部の概念設計が終わり詳細設計が開始された時点であり、また、制御フロントエンドや共有ファイルの基本設計が開始されたところ、ということになっている。また、スパコンを収容する計算機棟の設計も半分程度まで進んだことになっている。
そして、次世代スパコンはどのような構成になるのかを説明するのが、次のスライドだ。
ポイントは、スカラ部とベクトル部を有し、それらが制御フロントエンドと共有ファイルで結合されたシステムである点で、スカラ、ベクタそれぞれの得意な計算をやらせることにより高性能を達成しようという目論みの構成だ。そして、システムとしては、Top500の評価基準であるLinpackでの10PFlopsの達成だけでなく、アプリケーションの実行においても世界最高性能を達成するとしている。
システムハードウェアは、45nm半導体プロセスや光インターコネクトなどの先端技術を使い、画期的な省電力、省スペースを実現するもので、理研と富士通、日本電気、日立製作所のメーカー3社が共同で開発すると書かれている。
また、スカラ部の脚注として、「スカラ部では、CPUは汎用高性能マルチコアプロセッサをベースに、スーパーコンピュータ向けに世界最高レベルの高性能化と省電力化を実現するプロセッサを採用する。同時に、圧倒的なスケーラビリティ・高信頼性を持つ高性能インターコネクトや高効率冷却システムを採用する」と書かれており、ベクトル部の脚注は「ベクトル部では、CPUは画期的な省電力と高い演算性能との両立を実現するために、制御構造が単純なベクトルパイプライン型アクセラレータを採用したプロセッサを採用する。同時に、運用の自由度が高い接続構成で、省電力かつ超高速・広帯域の光インターコネクトを採用する」と書かれている。