中国互聯網絡信息中心(CNNIC)はこのほど、中国農村部におけるインターネット普及状況に関する調査報告書「2007年版中国農村インターネット調査報告」を発表した。同報告書によれば、現在中国農村部のネット人口は3,700万人を超え、娯楽を中心にインターネット利用が進み、分野によっては都市並みの普及率に至っていることが分かった。
同報告書によると、今年6月時点で、農村のネット人口は3,741万人に達した。農村部の総人口は7億 3,700万人とみられるが、インターネット普及率はわずか5.1%。中国都市部ではネット人口が1億 2,500万人、インターネット普及率も21.6%に達しているので、都市と農村の間には歴然たる格差がある。ただ、昨年末時点では、農村部のネット人口2,310万人、インターネット普及率3.1%という状況であったため、この差は急速に詰まりつつある。
また、昨年末時点で、農村部のPC保有状況は100世帯につき2.7台と、都市部の同47.2台世帯を大きく下回っていた。同報告書は、農民が「インターネットを利用しない」原因のうち、「機器を持っていないこと」がインターネットを利用しない(できない)理由の39.5%を占めており、ネット普及を妨げる最大の障害となっている。農村部でのインターネットカフェ利用率が53.9%と高く、全国平均の37.2%を大きく上回っていることが、こうした現状を物語っている。
さらに都市部のネット利用者に比べ、農村部のネット利用者はインターネットの諸機能の利用で初級段階にとどまっている。同報告書によれば、インターネットでニュースを読むネット利用者は66.5%で、都市部の81.5%を15ポイント下回っている。また、検索エンジンの利用率も65.8%と、都市部の78.4%を13ポイント近くも下回っている。農村部におけるオンラインショッピング、オンラインバンキング、オンライン株式売買の利用に至っては、都市部に比べてはるかに少ない状況だ。
一方、娯楽機能の利用では、農村部と都市部に大差はない。農村でもネットで音楽、ゲーム、映画・テレビ番組を楽しむ利用者がそれぞれ68.9%、47.1%、60.9%を占め、都市のネット利用者がそれぞれ68.4%、47%、61.2%であるのとほとんど変わらない。
興味深いのは、現在、農村の小中学生のネット利用者が1,575万人で、農村のネット利用者の42.1%を占め、都市を21ポイント上回っている点だ。6割の小中学生のネット利用者がネットカフェを頻繁に利用し、主に娯楽コンテンツに興じている。
農村情報化の進展に伴い、インターネット環境の整備が新農村建設の重要な一環となっている。現時点ですでに3,700万人に達する農村のネット利用者が、巨大な潜在力をはらんだインターネット市場となる日は遠くないものとみられる。