日本HPは13日、中堅・中小規模環境向けのコンパクトなブレード筐体「HP BlaceSystem c3000エンクロージャ」を発表、同日受注開始した。出荷開始は9月下旬の予定。価格は50万4000円。
c3000は、同社が「第3世代ブレード」と位置づける「HP BladeSystem c-Class」用としては2機種目となるエンクロージャ。先行して発売されたc7000エンクロージャが10Uサイズで最大16ブレードを収容可能なのに対し、c3000では6Uサイズで最大8ブレードとなり、小型化されている。同社ではこれを新たに"BLADE 3.0 compact"と呼び、これまでの大規模なエンクロージャでは対応できなかった中小規模のユーザーの要望に応えるとしている。
HP エンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部 本部長 上原宏氏 |
事業戦略について説明した同社のエンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部 本部長の上原宏氏は、まず「今日のは本当に自信があります」と語り、特に国内市場でのユーザーの強い要望に応える形でデザインされたc3000に対する強い自信を表明した。同氏はこれまでのブレードサーバ事業の推移を紹介し、急速に浸透しつつあるとしながらも、中堅・中小規模のユーザーでは30%のユーザーがブレードの必要性を感じてはいるものの、導入を躊躇っているという調査結果を明らかにした。この理由として大きなものは、「エンクロージャの規模が大きすぎ、高価すぎ」「200V電源を必要とする」というところであり、c3000はこの問題を解決することでSMB市場で導入しやすいよう工夫されている。さらに同氏は、従来の発想では、システム規模の拡大に応じてタワー型サーバからラックマウント・サーバ、最終的にブレードに、という流れだったのが、c3000の投入により、タワー型サーバを直接c3000ブレードで置き換えることが出来るようになり、「システム拡張のステップに革命的な変化が起こる」とした。
HP エンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部 プロダクトマーケティング部 山中伸吾氏 |
続いて製品の詳細説明を行なった同社のプロダクトマーケティング部 プロダクトマネージャの山中伸吾氏は、c3000の最大の特徴として新開発された電源ユニットを挙げた。同氏によれば、オフィスで利用される電源として100V環境が一般的なのは日本と北米、台湾のみだといい、200V電源の機器は使いにくい、という要望自体が世界的には少数派の声だという現状を紹介した。しかし、北米も含まれることから今回新開発の電源ユニットを開発し、100V電源環境でも制約なしに全機能を利用可能なブレード・エンクロージャが実現したのだという。さらに、設置環境としてラックの用意すら不要で、エンクロージャ単体で設置することもでき、あらゆる操作が遠隔から可能となっていることで、サーバ用のモニタやキーボード、KVM切替機のような機器は一切不要になっている。こうした工夫により、設置環境の整備にコストを投入できない中小規模のユーザーに使いやすくなったという。
また、同氏は9月28日までの期間限定キャンペーンを紹介した。現在、ブレードを3枚購入すればサーバ・ブレードの価格を30%オフにし、さらに本来63万円のエンクロージャを315円で販売する、というキャンペーンを行なっているが、新たに開始される「ブレードをはじめよう! <BLADE 3.0 compact>キャンペーン」では、最小構成のセットでは標準価格で107万1600円のところを50万円と、エンクロージャの価格を下回る53%オフの値付けが行なわれている。タワー型サーバよりも安価にブレードを提供することで、普及に弾みを付ける計画だ。
さらに、2008年初頭にはc3000エンクロージャを縦置きにして車輪を付けた「タワーバージョン」を追加する計画だといい、これまでのタワー型サーバと同じ感覚でオフィス内に設置できるようになる。
c3000のお披露目。向かって右は同社の取締役 副社長執行役員 HPサービス事業統括の石積 尚幸氏、左はエンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部 インダストリー スタンダード サーバ製品本部 本部長の上原宏氏 |
新開発の電源ユニットを見せる山中氏。向かって右が新しい100V電源で、左は従来の200V電源。大きさが大幅に小型化されている一方、供給できる電力は同等だという |
会場での展示。背後に並ぶ8台のタワー型サーバが手前の1台のc3000エンクロージャに収まります、という趣旨 |