日本AMDは11日、x86アーキテクチャのサーバ/ワークステーション用プロセッサの新製品「クアッドコア AMD Opteronプロセッサ」を発表した。以前から"Barcelona"というコード名で予告されていたもので、同社は「世界初のネイティブx86クアッドコア・マイクロプロセッサ」としている。同日付で発売開始した品種と1000個時の価格は以下の通り。
製品名 | スペック | 価格(1,000個受注時) | |
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2300シリーズ(最大2CPUまで) | AMD Opteron 2350 | 2GHz | $389 |
AMD Opteron 2347 | 1.9GHz | $316 | |
AMD Opteron 2347 HE | 1.9GHz | $377 | |
AMD Opteron 2346 HE | 1.8GHz | $255 | |
AMD Opteron 2344 HE | 1.8GHz | $209 | |
8300シリーズ(最大8CPUまで) | AMD Opteron 8350 | 2GHz | $1,019 |
AMD Opteron 8347 | 1.9GHz | $786 | |
AMD Opteron 8347 HE | 1.9GHz | $873 | |
AMD Opteron 8346 HE | 1.8GHz | $698 |
日本AMD 代表取締役社長 森下正敏氏 |
まず挨拶を行なった同社の代表取締役社長の森下正敏氏は、クアッドコア AMD Opteronプロセッサについて「1つのシリコンに4つのコアを集積した単一チップ」であるとし、「真の意味でのクアッドコア・プロセッサ」だと強調した。この表現はもちろん、先週発表されたインテルのサーバ向けクアッドコア・プロセッサXeon 7300番台などが、パッケージ内部にデュアルコア・プロセッサのダイを2つ封入し、"パッケージ内マルチ・プロセッサ"ともいうべき手法でクアッドコア化を実現していることを踏まえてのものだ。さらに同氏は、「設計段階からマルチコアを前提としてアーキテクチャを最適化した」としており、競合に対する優位性を強く訴えかけた。
続いて、詳細説明を行なった米AMDの上級副社長兼最高技術責任者(CTO)のフィル・ヘスター氏は、新プロセッサの規模について「4億6,300万トランジスタ、ダイ面積は285平方ミリ」と紹介したのに続き、オンダイにL3キャッシュを統合するなど、最適化されたコア設計によって性能を大幅に向上する一方、消費電力は従来のデュアルコア・プロセッサと同等レベルに維持しているとした。
クアッドコア AMD Opteronの外観とキャッシュの構造。コア毎に独立したL1(128KB)、L2(512KB)に加え、4コアで共有される2MBのL3キャッシュを持つ。一方、インテルXeonでは、デュアルコア・ダイでオンダイにL2キャッシュを4MB載せ、4コアに対して4+4の計8MBのL2キャッシュを持つ |
クアッドコア AMD Opteronのウェハを見せるヘスター氏。右手に持っているのは1個分のダイを封入したキーホルダー |
クアッドコア AMD Opteronプロセッサは、プロセッサ数の上限に対応し、最大2Way構成までの2300シリーズと最大8Way構成までの8300シリーズがまず発表された。さらに、それぞれのシリーズ内に、標準モデル、HE(低消費電力モデル)、SE(ハイパフォーマンスモデル)の3分類が設定される。今回発表されたのは、2300/8300とも標準モデルおよびHEモデルで、SEモデルは今年第4四半期中の出荷開始が予定されている。
なお、同プロセッサは65nmプロセスでドイツのドレスデンにあるFab36で製造される。従来のデュアルコア・プロセッサとプラットフォーム・レベルの互換性があり、既存のサーバ・プラットフォームに対してCPUアップグレードが可能だという。仮想化技術への対応が強化された点も特徴で、"Rapid Virtualization Indexing"と呼ばれる技術により、仮想マシンが直接メモリを管理できるようにすることである仮想マシンから他の仮想マシンへの切替時間が25%短縮したという。
ヘスター氏は、今後のロードマップに関しても紹介した。サーバ/ワークステーション向けでは、今回の"Barcelona"に続いて、"Budapest"の投入が予定されている。これは、65nmプロセスに基づくネイティブ・クアッドコア・プロセッサで、メモリ仕様が変更される点と、Hypter Transport 3.0がサポートされる以外の仕様はBarcelonaとほぼ同一だが、ソケットにSocket AM2が採用されることから、ハイエンドPCからワークステーション向けとなると考えられる。続いて、2008年には"Shanghai"が予定される。こちらはプロセスが45nmにシュリンクされ、共有L3キャッシュが6MBと3倍に増量される。ここまでは、プラットフォーム・レベルの互換性が維持される計画だ。さらに次世代のプラットフォームに関しても、概略が紹介されている。ここで想定されているプロセッサは45nmプロセスに基づくオクタルコア(8コア)プロセッサとなるようだ。
会場には、OEMメーカーのゲストとしてイージェネラ、クレイ・ジャパン、サン・マイクロシステムズ、デル、日本アイ・ビー・エム、日本ヒューレット・パッカード、富士通の各社の代表者も顔を揃えた。また、会場で紹介されたベンチマーク結果では、インテルのXeon 5300番台との比較で性能や消費電力で優位にある点などが示され、サーバ向けクアッドコア・プロセッサ市場をリードしていくという意気込みが強く感じられる発表会となっていた。