日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、コアスイッチ製品「ProCurve Switch 8212zl」を発売すると発表した。プログラミングが可能なASIC技術であるProVision ASICを採用するとともに、ライフタイム保証を付加していることが大きな特徴だ。同社では「有線、無線にかかわらず、コアからエッジまでのネットワーク運用や管理を一元化、ネットワークの複雑さや総所有コスト(TCO)を大幅に削減できる」としている。価格は基本システムで315万円(税別)で「競合他社の製品に比べ、1/2-1/3程度」(同社)とした。「HP ProCurve」は、HPのネットワーク製品部門だ。
「ProCurve Switch 8212zl」は業界初(同社)となる「ライフタイム保証」が提供されており、製品を使い続けている限り製品自体と、電源、モジュール、ファンなどのアクセサリを含めて保証される。何らかの問題が発生した場合、原則として、翌日までに代替品が送られ、さらには、ソフトウェアのアップデートと電話、電子メールでの無料保守サポートが受けられる。
基本構成は、シャーシ/ファントレイ×1、ファブリックモジュール×2、システムサポートモジュール×2などとなっているが。最大で2つの管理モジュール、4つの内蔵電源、外部電源を使用することにより、冗長構成を構築することが可能で「可用性が高い」(同社)。スイッチング能力は692Gbpsで、Gbイーサネットは288ポート、10Gbイーサネットは48ポートまで拡張できる。
独自技術によりASICを1つのチップ上に搭載していることから、部品点数の削減を実現しており「故障率の低減とともに、1チップ上に管理などの機能を搭載することが可能」(同社)になった。管理機能については、プログラミングが可能な「ProVision ASIC」技術を利用しており、製品購入後にもソフトウェアとして提供される新たな機能を搭載することができる。「製品の買い替え、買い増しを最小限にすることが可能になり、TCO低減化につながる」(同社)という。「ProVision ASIC」は、ProCurveとHP Labs(研究所)が共同で開発している。
「ProCurve Switch 8212zlの販売開始に合わせ、同社では「ProCurve Wireless Edge Services zlモジュール」も同時に発売する。「同モジュール」は、アクセスポイントの「ProCurve Radio Port」と連携動作し、無線LANの設定と管理を一元化、モバイルマルチサービスネットワークを構築する。「ProCurve Switch 8212zl」に、このモジュールを追加すれば、有線/無線の統合ネットワークを集中管理することができる。「増加してきているモバイル環境のニーズに応えた」(同社)施策だ。既存の「ProCurve Switch 5400zlシリーズ」にも対応している。価格は72万3,000円(税別)。
同社は、今回の製品の市場として、大企業、データセンター、官公庁、研究所、医療分野、デザイン領域などを想定している。価格自体を大きく低下させたことと「ライフタイム保証」の制度を導入したことにより「総合的なTCOは、1/2-1/3程度にまで抑えた」という。
また、今回、新製品の発売開始を記念して、2007年9月11日~2008年1月31日までの期間「業界初! ライフタイム保証付のコアスイッチProCurve Switch 8212zlキャンペーン」を展開、「ProCurve Switch 8212zl」を70%引きで提供する。
「HP ProCurve」はアダプティブネットワークと呼ばれる、次世代ネットワーク構想を掲げている。ネットワーク環境が複雑化しているため、企業は処理性能や柔軟性を確保すると同時に、可用性の高いネットワークを適正なコストで構築する必要に迫られており、同社では、ネットワークを単にインフラとだけ捉えず、「戦略的な資産」に変化させていくことを目指している。同社プロカーブ ネットワーキング ビジネス本部の芝原房夫本部長は「『ProCurve Switch 8212zl』は、アダプティブネットワークを実現する製品だ」と話す。
同社では、「HP ProCurve」製品体系を着々整えてきており、上位の「ProCurve Routing Switch 9300m」シリーズは「WANを超えるような領域を担う。8200はWANの次、LANのコアとなる」(芝原本部長)位置づけで、そのほか、「Intelligent Edge Switches」」として「ProCurve Switch 5400zl」シリーズ、下位機種には「ProCurve Switch 4200vl」シリーズなどを配置している。芝原本部長は「ProCurveは、2003年頃から高い伸びを示している。それを支えてきたのは、製品投入ラッシュだ」と語り、この分野で、積極展開していく意向を示している。