日本オラクルは10日、SCM(Supply Chain Management)に関する同社の取り組みをプレス向けに紹介する説明会を東京都内で開催した。

日本オラクル 執行役員 アプリケーションビジネス推進本部長 藤本寛氏

全体的な方針を説明した同社の執行役員 アプリケーションビジネス推進本部長の藤本 寛氏は、「SCMのビジネスは昨年に続いて今年も好調で、成長を牽引する重要製品となっている」とし、SCMへの取り組みが同社にとっても重要だとの認識を示した。

同氏は、ITやソフトウェアの利用目的が"コスト削減"から"競争優位の源泉"へと変わってきているとし、さらにユーザー企業における競争優位の源泉とは何か、という点に関して一般に言われている「プロダクト・リーダーシップ」「カスタマー・インティマシー」「オペレーショナル・エクセレンス」の3つの要素を挙げた。SCMは、オペレーショナル・エクセレンスを実現する上で有力な手段と位置づけられ、ユーザー企業にとってはSCMの導入はオペレーショナル・エクセレンスを実現することで競合企業に対して優位に立つための手段と見ることができるということになる。

アプリケーション層のソリューションは個々の技術に特化したニッチ・ベンダーがそれぞれ独自技術に基づいて開発した特定分野向けのアプリケーションが主流だったが、オラクルでは共通基盤の上に標準技術に基づいたアプリケーション群を統合して提供するというアプローチを採っている。このため、エンド・ツー・エンドで完全なプロセスを実現でき、統合に関して問題を生じることがない点が他社のソリューションに対する優位性だという。

ユーザー企業における競争優位の源泉

ユーザー企業がSCMに対して求める要件

日本オラクル アプリケーションビジネス推進本部 ソリューションビジネス推進部 シニアディレクター 岡田行秀氏

続いて具体的なソリューションについて説明した同社のアプリケーションビジネス推進本部 ソリューションビジネス推進部 シニアディレクターの岡田 行秀氏は、今後同社が推進していくSCM関連のソリューションの具体例として、「多拠点製販統合」「戦略調達のサプライヤー・コラボレーション」「販売垂直立上げのディーラー・ネットワーク」「グローバルSCMの実行管理」「製品情報のグローバル一元管理」「需要主導型サプライチェーン経営」の6つを挙げ、それぞれが何を目指し、どのような問題を、同社のどの製品を中核として解決していくかについて簡潔に説明した。

オラクルが推進する6つのソリューション

いずれも、中核となる製品は挙げられているものの、単一製品の導入で解決できるテーマではなく、さまざまなソフトウェアを組み合わせて実現する必要があることから、これらのソリューションが現実的に提供可能なのはオラクルのみだとされた。

なお、藤本氏は昨年、今年と同社のSCM関連ビジネスが好調であることを踏まえ、さらなる強化を目的に人材採用にも積極的に取り組むことを表明した。同氏は「SCM関連の優れた人材はみんなオラクルにいる、という状態にしたい」という。

製造プロセスの合理化という点では、トヨタのカンバン方式など、製造現場で生まれ、磨き上げられたプロセスがまずあり、これをITシステム上に載せるという形で発展している。一方、ERPのように、ソフトウェア・ベンダーの側でまとめた「ベスト・プラクティス」にユーザー企業が合わせるという形で導入が進むシステムも存在している。SCMは、現場のプロセスにシステムが合わせるという文化が根強く残っているようにも思われるが、この状況を転換し、"SCMに関して誰よりも優れた知識と経験を持つのがOracle"という状況を作ることができるのかどうか、興味深いものがある。