国際電気通信連合(ITU)は9月5日(現地時間)、テレコム分野のトレンドをまとめた報告書「Trends in Telecommunication Reform: the Road to NGN」を発表した。NGN(次世代ネットワーク)への進化を大きく取り上げており、テレコム分野は転換期に差し掛かっているとまとめている。
レポートによると、2006年末時点で固定網電話の加入者は12億7,000万人、携帯電話の加入者は26億8,000万人おり、合計約40億人近くの人が電話回線を持っているという。これは、10年前の約4倍となる。インターネット加入者は約10億人。
電話回線加入者の増加の主な要因は、中国、インドをはじめとした途上国での加入者増。携帯電話加入者の61%は途上国の人々で、中国とインドの場合、今年の第1四半期のみで約2億人が新規に加入したという。後発開発途上国を除いた途上国の携帯電話普及率は、2005年の26%から2006年は34%に増加した。
だが、インターネットとなると途上国の普及率は10%程度にとどまる。ロシア、ブラジルなどでブロードバンドの加入者数は伸びているが、後発開発途上国の場合は50カ国中22カ国でしかブロードバンドサービスが提供されていないという。
レポートでは大きなトレンドとして、NGNを挙げている。すでにIP網をベースに、ブロードバンド網の拡張、VoIP、FMC(固定と携帯電話の融合)、IP TVなどのサービスの台頭が見られ、NGNはこれを促進するものとなる。無線、モバイル、光ファイバー、ケーブル、既存のメタル回線のアップグレードなど様々な技術を取り入れて開発されており、"1ネットワーク、1サービス"から"1ネットワーク、複数のサービス"へのシフトを実現するとしている。また、NGNは、ITUが開催する世界情報社会サミット(WSIS)が掲げる"ICT(Information and Communication Technology)へのユニバーサルアクセス"という目標を実現するものでもあるという。
このような技術の進化を受け、競争は激しくなっており、テレコム分野では固定事業者、無線事業者、ケーブル事業者、ISPなどが今後競争を繰り広げることになる。また、各国政府は新しい時代にあった規制フレームワークを模索しているとも報告している。先進国はモバイルTVやIP TVといったNGNにつながる新サービスを実験しており、途上国は一足飛びに技術の進化を受け入れてユーザーのニーズを満たすことができるとしている。
このほかのトレンドとして、ISPによるトリプルプレイ/クワドラプルプレイの提供、ユーザー生成コンテンツによる広告収益モデルなどを挙げている。