中国のSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation:中芯国際集成電路製造)は、8月に開催されたIC China 2007(第5回 中国国際集積回路博覧会)において、EDAツールの大手ベンダである米Synopsysと戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。両社は今後、中国で開発するモバイルテレビを対象とした0.13μmプロセスと90nmプロセスの低消費電力設計ソリューションおよびIPの開発や提供を行う。
両社はLSIの設計および製造における諸問題を解決するため、低消費電力設計ソリューションの開発を行う。さらにモバイルテレビ用のLSI開発に必要なA-Dコンバータ、D-Aコンバータ、PLL回路、SerialATAインタフェース、IEEE 1394インタフェースなどのIPを提供。また、これに関するコンサルティングも行っていくという。
2008年の北京五輪が近付くなか、多くのファブレスメーカやLSIメーカが中国のモバイルテレビ市場に注目し、関連技術の開発を進めている。しかし現在、モバイルテレビの設計に関する統一基準がなく、中国の国内メーカがこの分野に進出しようとしても技術面などでハードルが高いという課題がある。
SynopsysのCOOである陳志寛氏は「SMICと戦略的パートナシップを築くことで、中国のLSIメーカの発展やデジタルテレビ市場の開拓をサポートできることを大変光栄に思う。SMICの0.13μmプロセスと90nmプロセス、IPのデータベース、設計サービスチームの存在に加え、当社の強力なIPと設計プラットフォームにより、新たなうねりを巻き起こしたい」と語った。
また、SMICのCEOである張汝京氏は、「Synopsysは、低消費電力設計とIPの両面において、世界でも突出した技術を持っている。両社の提携は、中国モバイルテレビの基準づくりや市場の発展を強力に後押しすることになるだろう」と述べた。
上海に本部を置くSMICは、世界的な半導体ファウンドリの1つである。Synopsysは1995年に中国に進出し、北京、上海、深セン、西安、香港に5つの関連子会社などを持つ。さらに上海と北京に開発センタを、上海に技術サポートセンタを設置している。