欧州通信衛星の運用管理を行う欧州衛星通信機構(Eutelsat)は8月31日(現地時間)、欧州数カ国で衛星ベースのブロードバンドインターネットサービス「Tooway」を提供することを発表した。まずは9月中にドイツで提供を開始し、その後欧州の他の地域に拡大する。地方などのブロードバンドサービスが行き届いていない地域を主なターゲットとする。

Eutelsatは今回のTooway展開にあたり、通信機器メーカーの伊ViaSatと提携した。インターネットは、Eutelsatの放送衛星「HOT BIRD 6」のKa帯衛星回線、「HOT BIRD 3」のKu帯衛星回線を経由して提供される。高品質、低価格を特徴とし、伝送速度は当初、下り最大2048Kbps、上り最大384kbps。すでに、イタリア・トリノにあるEutelsatの子会社Skylogicのテレポートでサービス開始に向け準備が整っているという。2010年には、既存の提携に基づいてさらに拡大し、速度を改善するとしている。

衛星通信規格「S-DOCSIS」をサポートしたViaSatの双方向衛星ブロードバンドシステム「SurfBeam DOCSIS」をベースとする。SurfBeam DOCSISはすでに北米で25万世帯にサービスを提供しており、オープン標準をベースすることで価格を下げたという。ターミナルは、屋外装置(Outdoor unit: ODU)、PCや家庭内LANのインタフェースとなる屋内装置(Indoor unit: IDU)で構成される。ODUは、Ka帯の場合67cmのパラボナアンテナ、Ku帯の場合96cmのパラボナアンテナとなる。

Toowayサービスは、Eutelsatが提携する現地のサービスディストリビューションパートナーより提供される。価格はディストリビューションパートナーが決定し、IP TV、IP電話などの追加サービスもパートナー企業が決定する。ディストリビューションパートナーとしては、すでにドイツでInternetagentur Schott、Telesと提携したという。

同サービスは、都市部のようにADSLや光ファイバの敷設などが行き届いていない地域を主なターゲットとする。独経済技術省によると、ドイツではブロードバンドインターネットの手段が衛星しかない世帯が1万以上あるという。欧州全体では東欧地区で深刻で、手ごろな価格でブロードバンドを入手できない世帯の比率は11.8%にのぼるという。