米国情報技術規格国際委員会 執行理事会(The INCITS Executive Board, the United States National Committee)は2007年8月23日(米国時間)、米国としてEcma Office Open XML (DIS 29500)のISO/IEC国際標準化に賛成するか否かを決める投票結果を公開した。結果、賛成票12、反対票3、棄権票1で米国としては賛成票を投じる見通しとなった。
ISO/IEC国際標準化の正式な投票は米国時間で2007年9月2日以降に実施されるとみられるが、現状のままであればEcma Office Open XMLはISO/IEC国際標準として一歩前進する可能性がでてきた。
Ecma Office Open XMLはオフィススィートのデータをXMLで表現するための規約。同分野の規約としてはOpenOffice.orgで採用されているOpenDocument Formatが一足先にISO/IEC国際標準として採用されている。OpenDocument Formatは、ドキュメントの互換性や永続性の確保、同分野における自由競争の加速などの利点があるとして、各国/地域の政府機関の検討対象となっている。
この動きに追随する形でMicrosoftも自社プロダクトのドキュメントフォーマットをXML対応させていくと発表。2006年にはEcma Office Open XMLとして規格をEcmaにおいて標準化した。Ecma Office Open XMLは、Microsoft Office 2007で採用されているほか、すでに多くのアプリケーションが対応を実施または表明している。
当初技術的な問題や政治的な懸念もあり、OpenDocument Formatを推進しEcma Office Open XMLに対して懐疑的な陣営からは、同規約がISO/IECにおいて規格化されるかそのものが疑問であること、また技術的に標準化しても普及しないのではないかといった意見もだされた。今回の投票ではIBM、Oracle、Farance Inc.が反対票を表明したが、Ecma Office Open XMLは批判にあいながらも米国では一定の理解を得つつあるようだ。すでにOffice Open XMLの採用を発表している地方政府もある。
各機関や組織、企業、団体にはそれぞれ思惑があるが、オープンフォーマットとして規約が策定されること、複数の有力な選択肢が存在することは多くの面で健全だ。今後は両フォーマットの互換性といった点に注目が移行することになりそうだ。