米CodeGear アジアパシフィックバイスプレジデントのマルコム・グローヴス氏 |
27日、米CodeGear アジアパシフィックバイスプレジデントのマルコム・グローヴス氏が来日し、CodeGearが提供する各種新製品の概要とロードマップを発表した。
米CodeGearは、昨年11月にボーランドから独立した開発ツールベンダ(ただし、国内ではボーランドの社内分社として事業を運営)。Delphi、C++Builder、C#Builder、JBuilder、Turbo、Interbaseなどの製品をボーランドから引継ぎ、開発/販売している。
今年3月には、PHP向けの統合開発環境「Delphi for PHP」をリリース。さらに、Ruby向け開発環境を開発中であることも明かしており、独立後は以前を凌ぐ勢いで製品ラインナップの拡充に取り組んでいる。
以下、グローヴス氏の話を基に、CodeGearの新製品/技術についてレポートしよう。
PHPによるRAD開発を実現する「Delphi for PHP」
グローヴス氏が最初に紹介したのは、PHPにおいてビジュアルな開発を実現するRAD(Rapid Application Development)環境/コンポーネント・フレームワーク「Delphi for PHP」である。
グローヴス氏は、まずPHPアプリケーション開発の現状を分析。課題として、以下のような点を挙げた。
- デバッグ機能が乏しい
- フレームワーク、ライブラリ実装、MVC実装が乱立している
- コンポーネントの標準規格が欠如している
- Ajaxを使用したインタフェースの作成が困難
これらはいずれもJavaや.NETで過去に解決してきた問題であり、両テクノロジーを長年にわたり牽引してきたCodeGear(ボーランド)には、それらを解消するためのノウハウが蓄積されている。Delphi for PHPは、そのノウハウを生かして開発されたプロダクトだという。
同プロダクトの特徴は大きく以下の2つに分けられる。
- RAD環境の実現
- コンポーネント・アーキテクチャの導入
RAD環境の実現という点では、デバッガ、ソースコードエディタ、自動ディプロイ機能が備わり、ドラッグ&ドロップによる開発がサポートされている。
一方、コンポーネント・アーキテクチャは「VCL for PHP」によって実現されている。同技術は、SourceForge.netでOSSとして開発されており、すでに50以上のコンポーネントが準備されている。Ajaxとの親和性が高く、Internet Explorer/Firefoxの両ブラウザをサポートするほか、拡張が可能、データベースをサポートするなどの特徴を備える。
同プロダクトに関してはすでに日本語版が提供されており、14日間利用可能なトライアル版も用意されている。興味のある方は試してみるとよいだろう。
RoR開発のコード補完も可能な「Ruby IDE from CodeGear」
CodeGearの新製品の中で、現在最も大きな注目を集めているのが「Ruby IDE from CodeGear」だ。同プロダクトは、その名のとおり、Ruby/Ruby on Rails(以下、RoR)をサポートする統合開発環境である。
Ruby IDE from CodeGearは、「初級者にも上級者にも重宝されるプロダクトを目指して」(グローヴス氏)開発されている。
まず、初級者向けの機能としては以下のようなものが挙げられる。
- インストーラによるランタイム環境構築機能
- ウィザードベースの開発支援機能
一方、上級者向けの機能は次のようなものになる。
- コードエディタとコマンドエディタのシームレスな連携機能
- RoRにも対応したコード補完/リファクタリング機能
- 成果物間の依存関係の可視化機能
注目したいのは、コードエディタとコマンドエディタの連携機能である。Ruby IDE from CodeGearでは、Java向けの統合開発環境とは異なり、実行コマンドの表示部分に文字列(コマンド)を入力できるようになっている。実行結果がエラーになった場合は、そのエラーメッセージをクリックするだけで、コードエディタに該当個所が表示されるという。従来は、エラーメッセージを基にエラーの原因を推測した後、ソースコードから該当個所を探し出すというプロセスを踏む必要があったが、それを省くことができるわけだ。
なお、Ruby IDE from CodeGearは、Windows/Mac OS X/RedHat Linuxに対応する予定で、発売は2007年後半とされている。グローヴス氏によると、「何ヶ月も先の話ではなく、何週間後というレベルでリリースできるだろう」とのことだ。