Javaで実装されたRubyの実行環境であるJRubyは、2007年6月10日(米国時間)に初のメジャーリリースとなるJRuby 1.0が公開された。同バージョンのリリースで、RubyスクリプトをJava実行環境で実行したり、JavaとRubyでシームレスな連帯を実現する取り組みは一定の成果を実現したことになる。その後は対象言語をJava 1.4.2からJava 5以降へアップデートするかの議論が行われ、2007年8月の上旬には次期JRuby 2.x系はJava 5以降を対象とすることが発表されている

8月17日(米国時間)には、1.x系の次期リリースのロードマップが公開された。Java 1.4.2を対象とするJRuby 1.1では次の機能が実現される見通し。

  • Ruby Javaバイトコードコンパイラjrubycの提供
  • Ruby Javaバイトコードコンパイラjrubycを使ったアスペクト機能の実現
  • Java仮想マシンにおける仮想ファイルシステムの提供
  • リリースに対するRubyConfの提供
  • YARVバイトコード実行とコンパイルへの対応
  • マルチスレッド対応の向上
  • パフォーマンスの改善
  • Java統合性の向上

機能的な側面ではRuby Javaバイトコードコンパイラjrubycの提供とマルチスレッドへの対応の強化が注目される。Rubyで作成されたスクリプトをJavaバイトコードに変換して実行するプロダクトとしては、すでに2007年8月8日(米国時間)にはXRuby 0.3.0がリリースされているわけだが、同機能がJRubyでも実現されることになる。Rubyで開発してJavaで実行するというアプローチがより現実的なものになると言えそうだ。

マルチスレッドの対応向上にも注目したい。掲げられている目標を検討する限りでは、実際問題としてマルチスレッド動作への抜本的な対応やRuby JavaバイトコードコンパイラでコンパイルできるAPIの数は1.1では十分なものにはならないかもしれない。しかしながら、エンタープライズレベルでRuby+Javaを活用していくための重要なリリースを目指していることは間違いなさそうだ。