日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括 システム製品統括本部長の三澤智光氏 |
日本オラクルは、中堅・中小企業向けのBI製品「Oracle Business Intelligence Standard Edition One (Oracle Business Intelligence SE One)」を発売すると発表した。今回の製品は、中堅・中小企業が導入しやすくなるよう、「低価格」「操作性」「使い勝手」の点に特に配慮している。同社では、中小・中堅企業向けBIの市場は国内では未開の領域とみており「今年度中にナンバーワンを目指す」(三澤智光 常務執行役員 システム事業統括 システム製品統括本部長)意向だ。
「Oracle Business Intelligence SE One(以下、Oracle BI SE One)」は、エンタープライズ・クラスの「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition」を基盤としており、インタラクティブ・ダッシュボード、定型レポーティング、アドホック・クエリーと分析、ETL(抽出、変換、ロード)ツールなど、中堅・中小企業で必要とされるBIの中核機能と、オラクル・データベースを、単一パッケージに搭載しており、価格は5ユーザーで62万5,000円(税別)からだ。
日本オラクル システム製品統括本部 クロスインダストリービジネス推進本部 戦略開発部長の藤原慎氏 |
同社システム製品統括本部 クロスインダストリービジネス推進本部 戦略開発部の藤原慎部長は「巷では、BIは高い、難しい、使いづらい、といわれ、一部の層だけに使われてきた。『Oracle BI SE One』は安い、簡単、使いやすい--が基本。単独製品で、必要な機能はすべて入っている」と話す。
BIは高額商品といわれていることについて藤原部長は「オラクルの場合も1,000万円程度で、他社も5ユーザーで500万円からとか、『安い』とされるベンダーでも5ユーザーで130-140万円といったところで、今回のオラクルの製品は、さらにその半額だ」と述べ、「BIの価格としては破格、BIの価格破壊」として、価格競争力には自信を示している。また、従来のBIは、機能/コンポーネントごとの「複数の製品を管理しなければならなかった。製品のバージョンがまちまちだったり、機能が重複していたりすることで、統合が困難だったが、『Oracle BI SE One』は一括インストールが可能で、手間が省ける」(藤原部長)という。
「Oracle BI SE One」には、以下のようなコンポーネントなどが用意されている。「Oracle Business Intelligence Answers」は、ダッシュボードへの組み込みが可能なアドホック・レポーティングと解析のためのツールだ。「Oracle Business Intelligence Publisher」は、決算報告書、請求書、ラベルなどのドキュメントとレポートの生成が可能だ。
「Oracle Business Intelligence Answers」では、Webベースでのレポート作成が可能だ。「専用ツールではなく、インタフェースは直感的になっており、普通のブラウザ操作と同様の感覚で、ITリテラシーがそれほど高くなくても使用できる」(同)。また「複数のデータソースと連携でき、オラクルのデータベースだけでなく、『Microsoft Excel』、WebサービスやXMLなどに対応している」(同)
「Oracle Business Intelligence Publisher」は、決算報告書、請求書、ラベルなどのドキュメントとレポートの生成が可能で、「Adobe Acrobat」や「Microsoft Word」など広く普及しているアプリケーションを使うことができる。同社では「これまでは、専用ツールが必要で、機能や使用法を覚えなければならなかったが、使い慣れたソフトですむ」(同)としている。
また「Oracle Business Intelligence Interactive Dashboards」は、複数のレポートを一覧表示、ゲージ、チャート、サマリーレポート、キートレンド、アラート、KPI(Key Performance Indicators)などを「ポータルのように、さまざまな形式で表示できる」(同)という。
今回の製品は「中堅・中小企業向けにフォーカス」(三澤常務)していることから、同社では、この領域の販売チャネルごとに、細分化した戦略を実行していく方針だ。販社にたいしては、幅広い層に、レポーティングツールとして提供していくほか、新規に、データベースだけでなく、BI機能も付加したシステムとしての提案をしていく。独立系のソフトベンダーには、これら各社の業務パッケージに組み込んで提供する。そのほか、BIのSI事業者には、コンサルティングを含め、SIのコンポーネントとして提供する。
三澤常務は「オラクルの定義では、中小・中堅企業は、売上高1,000億円以下、従業員数1,000人以下だが、この層は、依然、BI導入は少ない。この市場そのものがまだ新しい、ホワイトスペースだとみている」と指摘、目標としては「単年度の新規ライセンス売り上げで、他のBI専業ベンダーを超えたい。この市場はまだ大きくはないので、市場自体を拡大したい」と語っている。
同社のBI製品は大手企業向けにに、最上位の「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition」があり、エントリーレベルの「Oracle Business Intelligence Suite Standard Edition」も用意している。さらに今年買収した米Hyperionの、財務面に強い製品群も擁している。ここに「Oracle BI SE One」が加わり「すべての層に向けたBIのソリューションが完成した」(三澤常務)ことになった。同社のBI市場への攻勢がいっそう強まる。