米IBMは8月22日(現地時間)、Web会議サービスを提供する米WebDialogsを買収したと発表した。WebDialogsは未公開企業で、全世界で50万以上のユーザーを持っている。買収金額等の詳細は明らかにされていない。IBMではWebDialogsの技術を活用することで、同社コラボレーションスイート製品のLotus SametimeやLotus Notesなどのソリューションを強化することが狙い。
WebDialogsのサービスでは、インターネットのインフラを介して音声やデータを組み合わせたWeb会議機能が提供される。最大の特徴はSaaS(Software as a Service)型のモデルを採用している点で、Web会議に必要なシステムはWebDialogs側から提供されるため、社内に専用のサーバを設置したり、バージョンアップのための定期的なメンテナンスを必要としない。サービスの展開が容易というSaaSのメリットを享受できる。
IBMではWebDialogsのサービスをSametimeやNotesなどの製品に統合していくとともに、中小企業や大企業の個別部門に向けたWeb会議ソリューションを強化していく計画だ。WebDialogsは買収完了後、IBMソフトウェア部門のLotusグループの一部に組み込まれることになる。
同種の取引としては、2007年3月に米Cisco Systemsが行った米WebExの32億ドルでの買収が挙げられる。こちらもインターネットを介したWeb会議サービスを提供しており、PCに専用クライアントを導入することで誰でもすぐにWeb会議に参加できる点が特徴である。IM(Instant Messaging)などSIPサービスを介したコラボレーション製品の需要は近年急増しており、これまでコンシューマでの利用が中心だったIM技術が一般企業にも広がりつつある。これら業界大手2社によるWeb会議サービス企業の相次ぐ買収劇は、こうした需要増への対応と中小企業向け市場開拓を目指すものだ。