中国教育部はこのほど、「2006年中国言語生活状況レポート」を発表した。同部によれば、インターネット上で使われる言葉は口語化の特徴が顕著に見られるという。
同レポートは、中国国家言語文字委員会副主任で教育部言語文字情報管理司長の李宇明氏が調査したもの。対象分野は、(ネット上の)ニュース、BBS、ブログの3種類。
李氏によると、インターネットにおける言葉は、一般メディアのそれに似ている。例えば、ネット言語の常用文字の3,500字中3,131字が現代漢語常用字表と一致しており、同7,000字中6,141字が現代漢語通用字表と一致していた。こうしたことから、ネット言語も一般メディアの用字と基本的には同じだということになる。
だが、ネット言語においては、一部の文字・単語の出現率が特に高いのが特徴だ。例えば、「爾」を含む高頻度ベスト10に、高爾夫(ゴルフ)、英特爾(インテル)、戴爾(デル)、などがある。また、音訳語も非常に多いという。
また李氏は、ネット言語には口語化の傾向が比較的強く見られ、BBSにおいては「※」(口へんに「我」)だけでも20万回以上現れたと指摘している。さらに、BBSでは記号が多用され、一般文章語との違いが際立っている。統計によると、BBSでは漢字以外の記号を41.46%使っているが、一般の文章での使用率は15.5%にとどまっており、その差は大きい。
また、ネット言語は利用されるサービス/媒体によって利用される言葉にかなりの差異があり、ニュース、ブログ、BBSといった3つの分野だけをみても、漢字使用などで大きく異なる側面があるという。
今回の調査は、ブログを中心に行われた模様だ。2006年は「中国のブログ元年」と言われ、ブログの大量増殖により、使われる文字表現も多様化の様相を呈した。ブログでは使用漢字の種類が11,923種類に達し、中には一部の繁体字も含まれている。
また、単語の使用量こそ一般の文章より少ないものの、人称代名詞、願望、感情を表す動詞など、一部の品詞の出現率が比較的多い。例えば「去、想、説、知道、喜歓、覚得、吃、譲」などの使用頻度が比較的高くなっている。
調査からは、まれにしか使われない字を用いることに個性を感じる、いわゆる「怪字族」が非常に多いという結果が浮き彫りになった。チャットルームやQQのユーザー名に個性的なサインをつけたり、オンラインゲームで用いる奇妙な文字化けのような字体がはんらんし、その使用者の多くは18歳未満の学生だという。中国ではこのような字体の流行に合わせ、変換ツールを提供するサイトまで現れている。