インターネット上の悪意ある書き込み、いわゆる「アクプル("悪"と"Reply"を合わせた造語)」が問題視されている韓国で、一部のネティズンがアクプルにはアクプルで対抗すると考えていることが明らかになった。
連鎖する論戦がアクプルに転化
ポータルサイト「NATE」を運営するSK Communicationsは、同社によるメッセンジャー「NATE ON」のユーザー2,636人に対し、「あなたはアクプラー(アクプルを書く人)ですか?」と題した設問調査を実施した。
調査によると、アクプルを書いた経験のある人は全体の16.0%を占めた。性別では男性が20.1%、女性が12.0%となり、女性よりも男性のアクプル経験者が多いことが分かっている。
具体的にどんな書き込みをアクプルとするかの判断基準については、もっとも多かった回答が「誰が見ても明白な誹謗や卑下」(46.2%)だった。続いて「見た相手が不快感を感じればアクプルと判断」(30.5%)、「書いた人の意図的悪意(がある書き込み)」(17.4%)、「悪口(スラング)がある場合」(5.9%)となっている。
各人によって基準が異なる以上、どういった発言をアクプルと見るのかは難しい判断である。ただし、少なくともこの結果から見ると、多くの人がスラングや悪意を意図した書き込みよりも、誹謗・卑下や不快感を感じさせる表現のある書き込みをアクプルと見ているようだ。
また、アクプルを書く理由を、アクプル経験者を対象に調査したところ、「より強く主張するため」が54.0%と半分以上を占めた。これに続くのが「アクプルに対応するため」(13.8%)だ。以降、「おもしろ半分」(13.1%)、「笑いをとるため」(7.9%)、「注目を浴びたいから」(1.4%)、「ブログやミニホームページへの訪問者数を増やすため」(1.2%)、「その他」(8.6%)と続いた。
実際の論戦でもそうだが、複数の人の意見がくい違って、言い合ううちに語調が強くなることがある。書き込みの連鎖となるインターネットでは、それがエスカレートしてアクプルになることが多いようだ。また、その他の回答をみると、遊び半分でアクプルを書いているような傾向が伺える。以前お伝えした、韓国情報通信倫理委員会による「2007年 不法・青少年有害情報利用実態調査」の結果でもそうだったが、アクプルを書くのにそれほど深刻な理由というのはないようだ。
目には目を、アクプルにはアクプルを
アクプル対策としては現在、一部の大手ポータルサイトなどを対象に「インターネット実名制」が実施されている。これはポータルサイトなどの掲示板やコメント欄に書き込みをする際、かならず本人確認を行わなければならない制度だ。
「インターネット実名制がアクプル予防に役立つか」との質問に対しては、全体の75.0%が「役立つ」と述べている。しかし、アクプル経験者の場合になるとこの数値が一転、役立つと答えた人は30.0%にとどまっている。
それでは、アクプルを防ぐためにはどういった方法があるのだろうか。アクプル経験者たちに聞いてみると、「アクプルで対応する」が31.2%でもっとも多く、以降「実名を露出させる」(30.2%)、「アクプルは防げない」(19.3%)、「(アクプルを書いた人の)ミニホームページやブログにリンクをはる」(7.4%)。「その他」(11.9%)と続いた。
アクプルで対抗、もしくは実名露出など強制力のある方法をとるか、防ぐことはできないという両極端な結果となった。経験者の実感をそのまま反映していると言えるだろう。
ただし、インターネット実名制は、7月末に一部大型サイトを対象に始まったばかり。そのため、結果を求めるには時期尚早だといえる。制度を続けているうちに意識が変わってくる可能性もあり、今後経過を見守る必要がありそうだ。