コミュニティベースの無線インターネットアクセス網を手がける米Merakiは8月15日(現地時間)、サンフランシスコ市で行っている「Free the Net」プロジェクトの拡大を発表した。
Merakiは、スペインのFONと同様に、個人やビジネスのインターネット接続を無線メッシュ技術で結び、無料または低価格で利用できるインターネット接続網を実現しようとしている。製品としては、Meraki miniというリピーター機能付きの無線アクセスポイント(屋内用49ドル、屋外用99ドル)とDashboardという無料のWebベースのネットワークコントロール・パネルを用意している。
同社は今年3月にサンフランシスコ市で、「Free the Net」という無料のインターネットアクセスを実現するプロジェクトを開始した。まずはMission DoloresパークからCastroストリートを通過して、DuboceパークやAlamo Squareに至る2キロ×1キロぐらいの地域を中心に、屋内用のMeraki miniを無料提供する条件で、自身のインターネット接続を提供するボランティアの参加を求めた。これまでのところ約1500人がボランティア登録しており、6500人以上がコミュニティ無線LANを利用しているという。このMission、Haight地域での成功を受けて、15日から同プロジェクトの対象がサンフランシスコ市全体に広げられた。年内に登録したボランティアには、限定数に達するまで無料でMeraki miniを提供するという。
サンフランシスコ市というと、無料・低価格のインターネット接続を実現する市のプロジェクトが進められており、GoogleとEarthlinkがネットワーク敷設とサービス提供の交渉権を得ている。Googleが広告ベースの無料サービスを展開し、Earthlinkがより高速な低価格サービスを提供する計画だ。ところがサンフランシスコ市では議会の中で、低速なインターネット接続サービスの必要性、その実現にかかるコストなどに疑問を投げかける声が強まっており、今年11月に住民投票が行われることになった。市民の意見を参考として収集するのを目的とした投票で、その結果で計画が白紙に戻されることはない。だが、計画が遅々として進んでいないという印象を受ける。
これに対してMerakiは「トップダウン式の市のWi-Fiへのアプローチに対して、Merakiは個人の力を結んでWi-Fiコミュニティを構築するボトムアップ式の革新的でユニークなアプローチを採っている」と説明し、過去5カ月間のサンフランシスコ市における着実な成果をアピールしている。