ネットワーク機器ベンダの米Ciscoは7日(現地時間)、同社会計年度で2007年第4四半期(5 - 7月期)の決算を発表した。同四半期の売上は94億ドルで前年同期比18.1%の上昇、GAAPベースの純利益は19億ドルで25%のアップとなる。2007年通年では349億ドルで前年比22.6%の上昇、GAAPベースの純利益は73億ドルで31.4%アップしている。全体に堅調なビジネスが続いており、同社会長兼CEOのJohn Chambers氏は「今回の結果は製品、サービス、地域、顧客セグメントを縦断したバランスのとれたアプローチによるもの」と述べており、主力分野での全方位戦略が売上増加とシェア躍進の両方でうまく機能していることを裏付けるものとなる。
第4四半期のハイライトとしては、上場間近のVMwareへの1億5,000万ドルの投資を行い、両者間の技術連携やマーケティングを強化したことが挙げられる。また、インターネット会議システムのWebEx Communications、セキュリティゲートウェイのIronPort Systems、IPベースのサーベイランスシステムを提供するBroadWare Technologiesら企業の買収が完了し、製品ポートフォリオの継続的な拡充を行っている。また同社は決算の中で2006年2月に買収を行った米Scientific-Atlantaの買収効果の高さを強調しており、2006年度に9億8,900万ドルだったSA社の売上が、2007年度には28億ドルにまで拡大しているという。半年と1年という異なる期間の比較データだが、買収後の相乗効果を示す好例だろう。
ネットワーク機器の世界ではすでにオンリーワンに近い存在のCiscoだが、今後も継続的な成長を維持するためには新分野の開拓と既存ビジネスの継続的な強化が必要となる。たとえば近年の同社は、従来までのハイエンドでコアなネットワーク製品に加え、SMB市場向けの製品ポートフォリオ拡充、セキュリティなどの周辺分野の強化を行っている。Ciscoは第4四半期にSelf-Defending Network(SDN: 自己防衛型ネットワーク)のフェイズ3を発表しているが、これを補完するのが先ほど買収が完了したばかりの米IronPortの技術だ。継続的な買収や提携戦略が、Ciscoの基礎体力強化や継続的な成長を実現する原動力となっている。