米IBMと米Novellは7日(現地時間)、現在米カリフォルニア州サンフランシスコ市内で開催されているLinuxWorldにおいてオープンソースソフトウェア(OSS)の拡販とサポートで提携したことを発表した。OSSをベースとした製品を活用し、ライバルの持つ旧来のソフトウェア製品よりも低いコストでソリューションを展開しようというもの。IBMにとっては中小企業市場に強いNovellと組むことで新しい市場機会を得るメリットがあり、一方のNovellにはIBM営業/サポート部隊を活用できるというメリットがある。

今回の戦略提携では、クライアントPCからバックエンドのサーバまで幅広い領域をカバーする。Novellの持つSUSE Linuxのプラットフォームを活用し、IBMがOSSベースのアプリケーション製品群を用意することで、OSSで構成された包括的なソリューションを提供しようというもの。「特定のベンダーにロックイン(囲い込み)された状態を回避し、コスト面でユーザーのコラボレーションをサポートする」と両社では説明しており、中小企業(SMB)市場で大きな力を持つMicrosoftなどのライバル企業をターゲットとしていることがわかる。

例えばクライアントPCの分野では、SUSE Linux Enterprise Desktop向けにOpen Collaboration Clientと呼ばれるアプリケーションスイートが提供される。これには電子メールやスケジュール機能のほか、ワープロや表計算、プレゼンテーションなど、OpenDocument Format (ODF)をベースにしたファイル編集機能が用意されている。こうしたLinuxとOSSのビジネスツールを活用することで、Windows VistaとMicrosoft Officeの組み合わせと比較して単位ユーザーあたり最大で300~500ドルのコスト削減につながると両社では説明する。

バックエンドサーバの世界では、SUSE Linux Enterprise ServerにIBMのWebSphere Application Server Community Edition(WAS CE)をバンドルし、サポートとともにユーザーに提供する。WAS CEはApache GeronimoプロジェクトをベースにしたOSSのWebアプリケーションサーバ。これにJBossなどのOSS製品を活用するユーザーにWAS CEへのマイグレーションツールやサポートを提供することで、中小企業ユーザーへのWASの利用を拡大する狙いもある。IBMとNovellでは販売やマーケティングで共同キャンペーンを組み、これら製品ソリューションの世界規模での展開を行っていく。