韓国のポータルサイト「Daum」には、同好会サービスの「カフェ」というコーナーがあり、一定のテーマに基づいた多くのカフェが運営されている。Daum会員なら誰でも同好会用のスペースを開設することができ、カフェの趣旨やテーマに賛同・同調した人が自由に参加して情報や意見の交換を行うというものだ。文章による書き込みだけでなく、写真、動画などを共有して情報交換する人たちで大いに盛り上がっている。
カフェサービス開始から8年ぶりに700万突破
そのカフェの開設数が7月30日付けで700万を突破したと、Daumを運営するDaum Communicationが発表した。同社は5月29日付けでカフェの開設数が670万と述べているので、約2カ月で30万もの新たなカフェが開設された計算だ。現在、Daumカフェの開設者数は490万人、カフェに加入して活動している人は2,300万人に上る(カフェ開設者含む)。
ちなみにDaum Communicationによると、700万番目にカフェを開設したのは18歳の高校生が開設した、韓国人タレントのファンカフェだったという。
現在運用されているカフェのテーマは多様だ。スポーツや芸術などの趣味、歴史や経済などの研究、同窓会カフェといったスタンダードなものから、社会人のための人脈作りカフェ、テレビ番組の戦隊物を愛する人が熱く語り合う戦隊カフェ、迷宮事件を考えるカフェなど、ジャンルはかなり細分化されている。このほか、先日お伝えしたSamsung Korenoの一件のように、社会問題や事件について意見交換するためのカフェも多い。911テロ事件、インターネット実名制、若者のいじめ・自殺問題などを取り扱うカフェもある。
加入者が100万人を超えるカフェも、10カ所以上存在しているという。もっとも会員数が多いのは、ユーモラスな写真やエンターテインメント情報を共有する「猟奇もしくは真実」で295万人、続いて写真編集ソフトを使ったイメージ加工法をはじめ、PC情報を提供する「バラの家族のタグ教室」で約277万人となっている。
Daumカフェ、人気の理由は
Daumのカフェがこれほど人気を得られるもっとも大きな理由は何だろうか。Daum Communication担当者は「まずはカフェサービスを最初に開始したのがDaumだったこと。誰でも開設できる同好会サービスは当時の韓国では初めてで、それによって人が集まった」という。
Daumのカフェサービスは1999年5月に開始された。当時はパソコン通信による同好会サービスの活動も活発ではあったが、有料会員のみ同好会スペースを開設できるなど、やや閉鎖的なシステムがネックだった。そこでDaumは、「パリのオープンカフェのように、皆が自由に話を交わせる空間」(Daum)を由来とする無料同好会サービス「カフェ」を、韓国で最初に開始した。
その後の韓国は、ブロードバンドなどインフラの整備でインターネットが大きく普及する。Daum自体の知名度やアクセス数も高まり、「誰でも無料でできる」というキャッチフレーズのカフェは、Daumが提供するサービスの代名詞のようになった。
今となってはNaverやNATEなど競合他社にも類似のサービスがあり、機能的にもそれほど大きな差がなくなってきているのが現状だ。それは「他社のサービスはいずれもDaumカフェと比較して作られているため」(Daum Communication)だという。
とはいえ、元祖だからというだけで人気を維持できるものでもなく、ユーザーは使いやすく充実したサービスへ流れていくものだ。2003年12月にカフェサービスを開始したポータル最大手のNaverは、「1日のカフェ開設数は6,000以上に達し、1日に460万人ものユーザーが訪問するまでとなった」(NHN)と明らかにしている。最近ではFlashで作ったカフェのロゴを設定できるなど機能を強化した「カフェ シーズン2」を発表しており、後発とはいえDaumに迫る勢いを見せている。
こうした他社の攻勢に対し、Daumは、1つのカフェが利用できる容量を100GBまで拡大したり、携帯電話からの画像や動画のアップロードを手軽に行えるようにするなど、マルチメディア機能を充実させ差別化をはかろうとしている。
さらに今後は「マルチメディア編集機能や、書き込みの際に利用するエディターの改良などを通じて、さらに使いやすいサービスを提供したい。また、カフェを新規開設する際の支援サービスを充実させるプロモーションも行う」(Daum Communication)予定だ。
追随する競合他社に対して、Daumはカフェ利用の敷居をさらに低め、人気のサービスを拡充させて対抗するつもりのようだ。