NRIセキュアテクノロジーズは8月2日、東証1部・2部上場企業および従業員が300人以上の企業を中心とする企業約2,868社を対象に、2007年6月に実施した「内部統制に関するアンケート調査」の結果を公表した。アンケートは郵送で行われ、回収率は13.5%。

アンケートは、「金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制」(日本版SOX法)に関する企業の取り組みの現状と動向について、全10カテゴリ、約24の質問項目で行われたもの。その結果は、

  • 回答企業の8割超が、すでに内部統制プロジェクトを立ち上げ、検討作業に着手済み
  • 回答企業の約7割が、2007年度中に文書化を完了することを目標としている
  • 回答企業の7割超の企業が「評価範囲を最小限とする」「財務報告の信頼性確保に目的を絞る」「リスクと統制レベルは可能な限り重要なものに絞る」といった、重点化を意識した対応を進める意向を持っている
  • 現状までの取り組みの問題点については、「関係者の多忙」「進捗の遅れ」を挙げる企業が目立つ
  • 回答企業の約6割が、現在までの内部統制の取り組みの進捗に不満を感じている

となったという。アンケートの詳細は、「内部統制に関するアンケート調査結果」公開ページにて公開されている。

日本版SOX法は上場企業およびその連結子会社に適用されるので、今回のアンケートの対象となった企業の大半が適用対象企業だと考えられる。そのため、対応は他人事ではない企業が回答を寄せていると考えられるため、比較的準備が進んでいる印象の結果に繋がったと見られる。

一方で進捗に対する満足度はあまり高くないことや、問題点として進捗の遅れや手直しの発生などを挙げる回答が上位になった点を考え合わせると、準備には着手したものの、まだ期日までに作業が終わる確信がなく、焦りが生まれつつあるようにも感じられる。準備に使える時間はあと半年程度となっていることを考えると、対象を絞ってでも間に合わせることを最優先に、という現実的な対応が増えている理由もよくわかる、というべきだろう。

図1 問: 金融商品取引法に基づく『財務報告に係る内部統制の評価』を進めていますか

図2 問: 今年度は『財務報告に係る内部統制の評価』について、最低限どの実施プロセスまで準備を完了させることを目標としていますか(複数回答)