Rupert Murdoch氏率いるNews Corporationは7月31日(米国時間)、経済ニュースの配信サービスを行う米Dow Jonesの50億ドルの買収で合意したと、Dow Jonesの発行紙であるWall Street Journal(オンライン版)が同日付けで報じている。現在両社はボードメンバー同士が合併合意後の契約書へのサインを行っている段階で、数時間内にも正式な発表が行われるものとみられる。5月1日に明らかになった今回の買収提案だが、Dow Jonesの議決権を握る創業者一族のBancroftファミリーが反対の意思を表明したことで紛糾、3カ月におよぶ駆け引きを経て、いまここにようやく集結したことになる。
News Corp.による買収提案が行われた直後、Dow Jonesの議決権を握るBancroft一族は当初反対の意思表明を行ったが、その後ファミリー内でも意見が分裂し、交渉の行方が不透明になった。その間、Wall Street Journal編集部の記者が買収反対の意思を示すために集団ボイコットを行った様子が他メディアに報じられるなど、交渉はさらに混迷の度合いが高まりつつあったが、最終的にはDow Jonesの現経営陣がBancroft一族とNews Corp.の間で仲介に入ることで交渉は収束に向かっていった。ファミリーの一部には、Dow Jones株1つあたり60ドルというNews Corp.の買収提案に不満を持ち、最後まで抵抗の意志を見せる者もいたが、Murdoch氏は買収額の引き上げを受け入れず、最終的に1株あたり60ドル、総額で約50億ドルという形でまとまった。
Wall Street Journalは創刊から100年以上の歴史を持ち、経済新聞としては英国のFinancial Timesと並んで情報ソースとして定評がある。またDow Jonesが提供する「Dow Jones Industrial Average (ダウ平均株価)」は、経済指標の1つとして重用されている。老舗の一角として現在も活躍するDow Jonesだったが、ここ最近の新聞離れなどのニューメディア時代到来の波に翻弄される形でビジネス的には厳しい状態が続いており、次の一手を模索している段階だった。今回の買収合意で、世界中の大手メディアを傘下に収める一大メディア・コングロマリットのNews Corp.の一部門としての新たなスタートを切ることになる。