欧州連合(EU)の独占禁止法当局である欧州委員会(EC)は27日(現地時間)、米Intelに対し、異議声明(Statement of Objections)を送付したことを発表した。Intelが、x86プロセッサ市場で、不当な手段を使ってライバル米Advanced Micro Devices(AMD)を排除したとの判断に至ったためとしている。異議声明はEU競争法違反調査のステップであり、Intelは今後10週間以内に同異議声明書に回答しなければならない。
ECは、Intelがx86プロセッサ市場で独占的立場を利用しているとのAMDの申し立てを受けて調査を開始、今回の異議声明書送付に至った。ECが26日に送付した異議声明は、IntelはEC条約第82条に違反しているという仮判断に至ったことを示すもので、EU競争法違反調査のステップとなる。
ECでは、Intelは次の3つの点で独占的立場を乱用したとしている
- 自社チップを全面的、あるいは大半の製品で採用することを条件に、OEM各社にかなりのリベートを支払った
- OEM各社がAMDベースのCPUを搭載した製品のローンチを遅らせたり、中止させるよう奨励金の支払いを調整した事例が多く見られる
- サーバ市場において、戦略的に重要な顧客を獲得するため、平均価格以下でCPUを提供した。
この3つの手段についてECは、「主要なライバルであるAMDを市場から締め出すことを目的としたものだ」と述べている。また、「これらの手段は独占的立場を乱用したものであると暫定的に判断できる」とまとめている。ECはまた、「現時点の分析では、3つの手段はお互いを補強しあうものであり、単一の不当な競争戦略と見ることもできる」とも述べている。
Intelはこの異議声明に対し、10週間以内に回答しなければならない。Intelは文書にて弁護することができ、その後は口頭弁論も要求できる。異議声明で示されている仮判断が確認された場合、ECはIntelに対し、このような行為を停止するよう求め、制裁金を科すことができる。
AMDは2000年10月にEUに申し立てを行った。AMDは欧州のほかにも、米国と日本で同様の申し立てを行っており、日本では2005年、公正取引委員会がIntelの日本法人インテルに対し、独禁方違反で排除勧告を出している。
IntelとAMDはx86CPU市場で激しい戦いを繰り広げており、Intelのシェアは約80%といわれている。