Mozilla CorporationのCEO・Mitchel Baker氏は、公式ブログ「mitchell's blog」上で、メール / ニュースクライアント「Thunderbird」を同社から切り離す方針を明らかにした。今後Mozillaの開発およびプロモーションは、Firefoxに絞られることになる。
米国時間25日掲載の「Email Call to Action」と題された文書では、電子メールの重要性とThunderbirdがこれまで果たしてきた役割について述べたあと、コミュニティがFirefoxを中心としたWebに集中し、その努力が霞んでしまったことを指摘。Mozillaとしても、Firefoxと同レベルではThunderbirdに集中できず、今後もその考えは変わらないだろうと述べた。
Mozillaとしては、ブラウジングおよび関連サービスを含む「Web」を届けることを最優先と考えるが、Thunderbirdチームの努力を考慮した結果、ThunderbirdをMozillaから独立させ、コミュニティの手に委ねるべきという結論に達したという。
Baker氏はThunderbirdの今後について、3つの選択肢を示した。第1の選択肢は、Mozilla財団類似の新しい非営利団体を設け、Firefox同様のビジネスモデルを構築する案。この場合、高い独立性を得られる反面、新しい組織をつくる労力とよい役員に恵まれなければならないという。
第2の選択肢は、ThunderbirdプロジェクトをMozillaの子会社とする案。この場合、管理面での労力は抑えられるものの、Thunderbirdの独自性は発揮しにくいかもしれないとのこと。
第3の選択肢は、SeaMonkeyのようなユーザコミュニティとして独立し、サービスやコンサルティングを提供する団体を設ける案。多くのオープンソースソフトウェアはこの方式を採用するが、非営利団体として活動することは非常に難しく、課税対象の企業としてサービスを提供することがベストなのでは、とBaker氏はこの案に疑問を投げかけている。
どの選択肢がベストかはわからないが、このメッセージが議論のきっかけとなれば、とBaker氏は記事を締めくくっている。